保護したばかりの子猫や、母猫と離れてしまった子猫を育てる際、ミルクの与え方は非常に重要です。生まれたての子猫は、母猫の母乳から免疫力を受け継ぎますが、それが叶わない場合は人間のサポートが不可欠になります。
この記事では、子猫の生命をつなぐ正しいミルクの与え方を、準備から作り方、飲ませ方のコツまで詳しく解説します。子猫の成長に合わせたミルクの量や回数、いつまで与えるかという卒乳の目安、そしてミルクを飲まないときの対処法まで、新しい飼い主さんが抱える疑問を解決します。大切な子猫を健やかに育てるために、ぜひ参考にしてください。
子猫のミルク、飲ませ方は?
ミルクを与える前に準備するもの
子猫にミルクを与える際は、「子猫専用の哺乳瓶」「子猫用の粉ミルク」「お湯」の3点を準備してください。哺乳瓶は、使用前に数分間煮沸消毒しておくと衛生的で安心です。ミルクは必ず、子猫の成長に必要な栄養素が調整された専用のものを使いましょう。
ミルクの作り方(分量・温度)
ミルクを作る際の分量や濃度は、製品のパッケージに記載されている指示に必ず従ってください。自己判断で濃くしたり薄めたりすると、子猫の体に負担がかかる場合があります。ミルクの温度は、人肌程度の約38℃が理想です。作ったミルクを自分の手首の内側に数滴垂らして、少し温かいと感じるくらいかを確認してから与えましょう。
正しい飲ませ方と姿勢
子猫にミルクを飲ませるときは、うつ伏せの姿勢が基本です。自然に母乳を飲む体勢に近いため、子猫も安心して飲むことができます。人間の赤ちゃんのように仰向けで飲ませると、ミルクが気管に入ってしまい誤嚥性肺炎を起こす危険があるため、絶対に避けてください。
子猫に与えるミルクの量は体重測定でわかる
子猫に与えるミルクの適切な量は、日々の体重測定によって判断します。子猫は毎日成長するため、体重に合わせてミルクの量を調整することが重要です。例えば、生後1週間で体重150gの子猫なら1回あたり約7cc、生後3週間で350gなら約20ccが目安となります。
使用する子猫用ミルクのメーカーによって推奨される分量は多少異なります。必ず製品の指示に従い、正しい量を与えることが子猫の健やかな成長のポイントです。
子猫にミルクを与える回数は?
胃が小さい生まれたばかりの子猫は、一度にたくさんのミルクを飲めないため、授乳回数が多くなります。体重150g程度の子猫であれば1日に6〜8回(3〜4時間おき)、350g程度に育てば1日に4〜5回と、成長とともに授乳間隔は長くなっていきます。
注意すべきは、授乳回数が減って1日に必要な総量を下回ってしまうことです。栄養不足や低血糖を引き起こす危険があるため、飲み残しがあっても根気よく、1日のトータルで必要な量を飲ませてあげましょう。
子猫の卒乳の時期とポイント
子猫のミルクはいつまで必要なのでしょうか。一般的に、生後3〜4週間頃に乳歯が生え始めたら、卒乳のサインです。このタイミングで、ミルクから離乳食への切り替えを少しずつ始めましょう。最初は、離乳食用のウェットフードや、ドライフードをお湯で十分にふやかしたものを与えます。
離乳食を始めたばかりの頃は、まだ上手に食べられず栄養が不足しがちです。その場合は、今まで通りミルクも与えて栄養を補いましょう。離乳食をしっかり食べられるようになれば、徐々にミルクの回数を減らしていきます。離乳食スタートから10日〜2週間ほどで完全に卒乳できるのが理想的なスケジュールです。
子猫がミルクを飲まないときは?
子猫がミルクを飲まない場合、いくつかの原因が考えられます。まずは排泄がきちんとできているか確認しましょう。子猫は自力で排泄できないため、授乳の前後にお尻を刺激してあげる必要があります。ぬるま湯で湿らせたコットンなどで優しく刺激しても排便がない場合は、お腹が張ってミルクを飲めないのかもしれません。
また、哺乳瓶の吸い口が子猫に合っていない可能性もあります。吸い口の穴が小さすぎてうまく吸えない、または大きすぎてむせてしまう場合は、穴のサイズを調整してあげると飲むようになることがあります。それでも飲まない場合は、体調不良も考えられるため、早めに動物病院に相談しましょう。
子猫用ミルクの種類は?
子猫用のミルクには、主に「液体タイプ」と「粉末(パウダー)タイプ」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、状況に合わせて選びましょう。
液体タイプは、調乳の手間がなく、開封してすぐに与えられる手軽さが最大のメリットです。ただし、開封後は長期保存ができず、粉末タイプに比べて割高になる傾向があります。粉末タイプは、都度お湯で溶かす手間はかかりますが、長期保存が可能でコストパフォーマンスに優れています。多頭飼育や長期間ミルクを与える必要がある場合に適しています。
子猫には牛乳は危険。子猫用ミルクで育てる
「ミルクがないから」と、人間用の牛乳を子猫に与えるのは絶対にやめてください。牛乳には、多くの猫が消化できない乳糖(ラクトース)が多く含まれており、子猫が飲むと下痢や嘔吐といった消化器症状を引き起こす原因になります。
また、栄養バランスも子猫の成長には適していません。子猫を育てる際は、必ず子猫の成長に必要な栄養が調整された「総合栄養食」の表記がある子猫専用ミルクを用意してください。