毎日できる犬の健康チェック10項目!獣医師が教える病気のサインと健康管理法

いつも元気な愛犬の様子が少しでもおかしい、あるいはご飯も食べずにぐったりしていると、飼い主さんとしては心配で慌ててしまいますよね。愛犬の健康を管理することは飼い主さんの大切な役目ですが、どれだけ気をつけていても、突然の体調不良は起こり得ます。

この記事では、愛犬の病気のサインを見逃さないための日々の健康チェックの重要性と、病気を未然に防ぐための健康管理のポイントについて、具体的に解説します。

愛犬の健康チェックは大切?

結論から言うと、愛犬の健康チェックは非常に大切です。犬は言葉を話せないため、体調の悪さを飼い主さんにうまく伝えられません。日頃から愛犬の体をチェックする習慣をつけておけば、病気の早期発見・早期治療につながり、結果として愛犬の健康寿命を延ばすことができます。

愛犬が見せる些細なサインは、体からの重要なメッセージです。飼い主さんがそのサインに気づき、適切に対応してあげることが、愛犬との信頼関係を深めることにも繋がります。

これからご紹介するチェックポイントを参考に、毎日のコミュニケーションの一環として、愛犬の健康状態を確認してあげましょう。日々の小さな積み重ねが、愛犬と長く幸せに暮らすための鍵となります。

愛犬の病気の芽を摘む!健康管理のポイント1. 「飲み水の量」

飲み水の量でわかる健康サイン

増えた:糖尿病、腎臓病、子宮蓄膿症などの疑い
減った:口内トラブル、脱水症状、膀胱炎などの恐れ

犬が1日に飲む水の量には個体差がありますが、急に量が増えたり減ったりした場合は、何らかの病気のサインかもしれません。日頃からおおよその量を把握しておくことが重要です。

飲む量が増えた(多飲)

水を飲む量が急激に増える「多飲」は、病気のサインとして特に注意が必要です。もちろん、「気温が高い日」や「激しい運動の後」に飲む量が増えるのは生理現象なので問題ありません。しかし、そうした理由がないのに水をたくさん飲む場合は、以下の病気が考えられます。

糖尿病

インスリンの働きが悪くなり、血糖値が高くなる病気です。特にシニア犬に多く見られます。体は余分な糖を尿として排出しようとするため、尿の量が増え(多尿)、その結果、喉が渇き水をたくさん飲む(多飲)ようになります。「多飲多尿」は糖尿病の典型的な症状であり、放置すると白内障などの合併症を引き起こすため、早期の対応が不可欠です。

子宮蓄膿症

避妊手術をしていないメス犬に起こりやすい、子宮内に細菌が感染し膿が溜まる病気です。細菌が出す毒素が腎臓に影響を与え、多飲多尿の症状を引き起こします。食欲不振、元気消失、お腹の張り、陰部からの膿といった症状も同時に見られることが多いです。発見が遅れると命に関わるため、疑わしい場合は直ちに動物病院を受診してください。

飲む量が減った

逆に水を飲む量が減った場合、「夏バテ」「運動不足」といった原因も考えられますが、病気が隠れている可能性もあります。特に、キレイ好きな犬はトイレが汚れているとおしっこを我慢し、その結果、水を飲む量も減らしてしまうことがあります。これは「膀胱炎」のリスクを高めるため注意が必要です。

また、歯周病や口内炎などで口の中に痛みがあると、水を飲むこと自体が苦痛になり、飲水量が減ることがあります。食欲も同時に落ちていないか、口を痛がるそぶりはないかを確認し、異常があれば動物病院で口の中を診てもらいましょう。特に夏場は脱水症状に繋がりやすいため、水飲み場やトイレは常に清潔に保つことを心がけてください。

愛犬の病気の芽を摘む!健康管理のポイント2. 「抜け毛の量」

犬の抜け毛は、春と秋の「換毛期」に増えるのが一般的です。これは体温調節のための自然な生理現象なので心配いりません。しかし、それ以外の時期に異常に毛が抜けたり、特定の部分だけがハゲたりする場合は注意が必要です。

以下のような抜け毛は、病気のサインかもしれません。

  • 換毛期でもないのに、大量に毛が抜ける
  • フケやかゆみを伴っている
  • 体の一部分だけが円形にハゲている(脱毛)
  • 皮膚に赤みや湿疹が見られる

これらの症状が見られる場合、アレルギー性皮膚炎、ノミ・ダニの寄生、ストレス、あるいはホルモンバランスの乱れ(甲状腺機能低下症など)が原因として考えられます。命に直接関わることは少ないですが、愛犬にとっては大きなストレスになります。原因を特定し、適切な治療を行うためにも、皮膚の状態がおかしいと感じたら獣医師に相談しましょう。

愛犬の病気の芽を摘む!健康管理のポイント3. 「目の色」

「目は口ほどに物を言う」とのことわざ通り、愛犬の目の状態は健康のバロメーターです。毎日、愛犬の目を優しくチェックしてあげましょう。「白目が充血して赤くなっていないか」「目やにが異常に多くないか」「黒目が白く濁っていないか」などを確認してください。

目の充血や過剰な目やには「結膜炎」や「角膜炎」のサインかもしれません。特に、シーズーやマルチーズのように目の周りの毛が長い犬種は、毛が目に入る刺激で炎症を起こしやすい傾向があります。

また、目が白く濁って見える場合は「白内障」の可能性があります。白内障は加齢とともに進行することが多いですが、遺伝的な要因や糖尿病が原因で若くして発症することもあります。早期に発見できれば、進行を遅らせる点眼薬などで治療が可能です。愛犬の視力を守るためにも、目の色の変化には常に気を配りましょう。

愛犬の病気の芽を摘む!健康管理のポイント4. 「便の状態」

便で確認する健康ポイント

・におい
・色や硬さ(形)
・回数(便秘や下痢の有無)
・血や異物が混じっていないか

愛犬の便は、消化器系の健康状態を知るための最も分かりやすい指標です。拾う際には、ただ処理するだけでなく、状態をしっかり観察する習慣をつけましょう。

におい

いつもより便のにおいがきつい場合、腸内環境が悪化し「消化不良」を起こしている可能性があります。フードを急に変えた後などは特に起こりやすいです。数日経っても改善しない場合は、そのフードが愛犬の体に合っていないのかもしれません。

軟便・下痢

一時的な軟便であれば、「ストレス」や「お腹の冷え」が原因のことが多いです。例えば、長時間の留守番や環境の変化が引き金になることもあります。しかし、軟便や下痢が何日も続く場合は、ウイルスや細菌による「感染性腸炎」や「寄生虫」の可能性も考えられます。脱水症状を引き起こす危険もあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

vet監修獣医師先生

便の硬さや形状を客観的に判断する指標として「ブリストルスケール」というものがあります。インターネットで検索すると犬用のものも見つかりますので、獣医師に状態を説明する際の参考にしてみてください。

便秘

犬は比較的便秘になりにくい動物です。そのため、1日以上排便がない、排便時に苦しそうにしているといった「便秘」の症状は、何らかの異常のサインである可能性が高いです。水分不足や運動不足のほか、異物の誤飲による「腸閉塞」など、命に関わる重大な病気の可能性も否定できません。愛犬の便秘に気づいたら、様子を見ずに速やかに獣医師の診察を受けてください。

食生活を整えて、事前に愛犬の病気の芽を摘む

日々の食生活は、愛犬の健康の土台を作る上で極めて重要です。毎日与えているドッグフードが、実は愛犬の体に合っておらず、不調の原因になっていることも少なくありません。

「規定量を守っているのに太ってきた」「フードを変えてから毛ヅヤが悪くなった、元気がない」といった変化は、フードが原因かもしれません。愛犬の体質に合わない原材料や、消化の負担となる穀物、不必要な添加物が含まれている可能性があります。

合わないフードを与え続けることは、アレルギーや内臓疾患など、様々な病気のリスクを高めることにつながります。病気の芽を未然に摘むためには、飼い主さんが日々の様子を観察し、愛犬の年齢、体質、活動量に合った「本当に良いフード」を選んであげることが大切です。

飼い主さんが愛犬の健康を管理する!

家族として迎えた愛犬の健康を守ることは、飼い主さんの最も重要な責任です。今回ご紹介した健康チェックは、どれも日常生活の中で簡単に行えるものばかりです。ぜひ毎日の習慣にしてみてください。

日々のチェックは、病気の早期発見だけでなく、愛犬との大切なコミュニケーションの時間にもなります。体に触れ、様子を観察することで、愛犬との絆はより一層深まるでしょう。そして、少しでも「いつもと違う」と感じたら、自己判断せずに、かかりつけの動物病院に相談することが何よりも大切です。愛犬と一日でも長く、健康で幸せな毎日を送るために、日々の健康管理を続けていきましょう。

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