犬が排泄しない!うんち・おしっこが出ない原因と対処法|血便・血尿は危険サイン

愛犬の健康状態を知る上で、うんちやおしっこといった排泄物のチェックは非常に大切です。犬の排泄物に異常が見られる場合、便秘や排尿困難だけでなく、異臭や血便・血尿など、何らかの病気が隠れているサインかもしれません。

これらの症状は、放置すると愛犬の命に関わる危険性もあります。大切な愛犬の健康を守るためにも、普段から排泄の状態を気にかけてあげましょう。この記事では、獣医師監修のもと、犬のうんち・おしっこの異常について、その原因と具体的な対策を詳しく解説します。

犬がうんちをしない原因は?

考えられる主な原因
  • 運動不足
  • ストレス
  • 食事内容(水分不足・食物繊維の過不足)
  • 環境の変化
  • 病気や加齢

犬がうんちをしない場合、主な原因として「運動不足」「ストレス」「食事」「病気」などが考えられます。

うんちをする体勢(ポーズ)すら見せない場合は、散歩が足りないことによる「運動不足」や、生活環境の変化などによる「ストレス」が影響している可能性があります。一方で、いきんでいるのにうんちが出ない場合は、食事内容が合っていないか、消化器系の病気を患っているサインかもしれません。

健康な犬でも1日程度うんちが出ないことはありますが、丸2日間まったく排便がない場合は異常のサインと考え、注意深く様子を見る必要があります。

犬がうんちをしない、病気は?

うんちをしない時に疑われる病気・症状
  • 便秘
  • 肛門嚢炎(こうもんのうえん)
  • 会陰ヘルニア
  • 脊髄の異常(椎間板ヘルニアなど)
  • 前立腺肥大、前立腺炎(未去勢のオス)
  • 腫瘍による腸の圧迫

犬がうんちをしない、または出にくそうにしている時に考えられる病気には、「肛門嚢炎」や「肛門周囲腺腫」といった肛門周りの病気や、「会陰ヘルニア」「脊髄異常」「甲状腺機能低下症」などがあります。

特に去勢をしていない雄犬の場合、「前立腺肥大」によって腸が圧迫され、うんちが出にくくなるケースも少なくありません。愛犬が痛がる、苦しそうな素振りを見せるなど、普段と違う様子があれば、これらの病気が隠れている可能性を疑い、すぐに動物病院で獣医師の診断を受けましょう。

数日間うんちが出ない、いきんでも出ないといった症状は「便秘」が考えられます。軽度の便秘であれば食事の見直しや薬で改善することもありますが、重度の便秘や他の病気が原因の場合は、専門的な治療が必要です。

vet監修獣医師先生

去勢手術は前立腺肥大以外にも肛門周囲腺腫や会陰ヘルニアなど様々な病気を予防することができます。将来的な病気のリスクを減らすためにも、適齢期になったら早めに去勢手術をすることをおすすめします。

犬のうんちがでない、対策は?

自宅でできる対処法
  • 適度な運動をさせる
  • ストレスの原因を取り除く
  • 食生活(食事・水分)を見直す
  • お腹のマッサージ

愛犬がうんちをしない、または便秘気味で困っている場合、病気が原因でなければ、ご家庭でいくつかの対策を試すことができます。運動、ストレス、食事の3つのポイントを見直してみましょう。

運動不足の解消

犬は散歩などの運動によって腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、便意をもよおしやすくなります。犬が散歩中にうんちをすることが多いのはこのためです。

特に室内飼いの小型犬は運動不足になりがちです。犬種や年齢に合わせた運動が必要ですが、目安として毎日合計1時間程度の散歩や遊びの時間を確保し、腸の働きを促してあげましょう。

vet監修獣医師先生

犬の散歩は、例えば1回20分の散歩を1日2回行うなど、複数回に分けるのも効果的でおすすめです。継続することが大切です。

ストレスの削減

犬は非常にデリケートな動物で、ストレスが原因で便秘になることがあります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、腸の正常な動きを妨げてしまうのです。

食事や散歩の時間が不規則、引っ越しや家族構成の変化、多頭飼いでの他の犬との関係など、ストレスの原因は様々です。愛犬がリラックスできる静かな環境を整え、排泄する場所は常に清潔に保ってあげましょう。

優しくお腹を「の」の字にマッサージしてあげることも、腸の動きを助け、リラックス効果が期待できるため便秘解消に役立ちますよ。

食生活の見直し

犬の便秘対策には、食事内容の見直しも欠かせません。特に十分な水分と適切な量の食物繊維を摂ることが重要です。

サツマイモやキャベツ、かぼちゃなどは食物繊維が豊富ですが、与えすぎると逆に便の体積が増えすぎて便秘を悪化させることがあるため、量には注意してください。普段ドライフードを与えている場合は、ぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードに切り替えたりするのも水分摂取に効果的です。

vet監修獣医師先生

ドライフードを水でふやかして与えるのは手軽でおすすめです。また、鶏肉や野菜を煮た無塩のスープをフードにかけてあげると食いつきが良くなり、同時に水分も補給できます。適度な運動は喉の渇きを促し、飲水量を増やす効果もあるので、運動と食事の両面からケアしましょう。

犬がおしっこをしない原因は?

考えられる主な原因
  • 泌尿器系の病気
  • ストレスや痛み
  • 水分不足

愛犬がおしっこをしない場合、うんちが出ない時よりも深刻な状況であることが多く、真っ先に病気の可能性を疑う必要があります。おしっこが全く出ない状態は、体に毒素が溜まる「尿毒症」につながるため、非常に危険です。

室内飼いの犬であればトイレシーツの変化で気づきやすいですが、庭などで排泄している場合は発見が遅れることもあります。「散歩に行ってもおしっこをしない」「何度もポーズはするのに出ていない」など、普段の愛犬の排尿習慣を把握し、小さな変化を見逃さないようにしましょう。

犬がおしっこをしない、病気は?対策は?

おしっこをしない時に疑われる病気
  • 膀胱炎
  • 尿路結石(尿石症)
  • 急性腎不全
  • 前立腺肥大(未去勢のオス)
  • 腫瘍

犬が全くおしっこをしない、または少量しか出ないといった症状が見られる場合、「膀胱炎」「尿路結石」「腎不全」「前立腺肥大」などの泌尿器系の病気が強く疑われます。尿が体内に長時間溜まると、老廃物が排出できずに尿毒症を発症し、数日で命を落とす危険性があるため、一刻も早く動物病院を受診してください。

考えられる対策
  • 水分摂取量を増やし排尿を促す
  • 去勢手術(オス犬の場合)
  • 食事のミネラルバランスの見直し

おしっこが出ない場合の対策は、まず動物病院での適切な治療が最優先です。その上で、家庭では「水分摂取量を増やして排尿を促す」ことを意識してください。ウェットフードの活用や、飲み水に風味をつけるなどの工夫が有効です。

オス犬の場合は、若いうちに去勢手術を受けることで、加齢に伴う前立腺肥大が原因の排尿障害を予防できます。

また、食事のミネラルバランスの乱れは尿路結石の形成につながるため、獣医師に相談の上、愛犬の体質に合った療法食などを検討することも重要な対策です。

vet監修獣医師先生

尿毒症とは腎臓の機能が著しく低下し、本来尿として排出されるべき老廃物や毒素が血液中に蓄積してしまう状態です。嘔吐や痙攣などを引き起こし、最悪の場合は昏睡状態に陥ることもあります。おしっこが出ないのは極めて危険なサインと認識してください。

犬の血便や血尿は病気なの?

犬のうんちやおしっこに血が混じる「血便」や「血尿」は、放置してはいけない重大な病気のサインです。

血便が見られる場合、鮮やかな血であれば大腸や肛門付近からの出血、黒っぽいタール状の便であれば胃や小腸からの出血が疑われます。原因となる病気には、ウイルス感染症(パルボウイルスなど)、寄生虫、大腸炎、腫瘍などが考えられます。血尿の原因としては、膀胱炎、尿路結石、腎炎、膀胱腫瘍などが挙げられます。

雄犬の場合は前立腺疾患も疑われます。また、タマネギ中毒による溶血性貧血でも血尿が出ることがありますので、犬にタマネギを与えるのは絶対にやめてください。血便・血尿に気づいたら、様子を見ずに、ただちに動物病院を受診しましょう。

気になる初期症状は獣医師に相談してみる

「いつもより、うんちやおしっこの回数が少ない」「便に血が混じっている気がする」といった飼い主さんだからこそ気がつける愛犬の些細な変化は、病気の重要な初期症状かもしれません。自己判断で様子を見ることは、病気の発見を遅らせるリスクがあります。

少しでも「おかしいな」と感じたら、可能であれば排泄物の状態がわかる写真や動画を撮り、かかりつけの獣医師に相談してください。いつから症状があるか、食欲や元気はあるか、といった情報も伝えられると、よりスムーズな診断につながります。

犬のうんちやおしっこは日頃から観察

犬のうんちやおしっこのトラブルは、生活習慣の改善で対応できるものから、緊急の治療を要する病気まで、原因は多岐にわたります。その違いを飼い主さんが見極めるのは難しいため、少しでも異変を感じたら獣医師に相談するのが最も安心な選択です。

愛犬は言葉で不調を訴えることができません。だからこそ、毎日の排泄物の状態をチェックする習慣が、病気の早期発見・早期治療につながります。日頃から愛犬とのコミュニケーションを大切にし、健康状態をよく観察してあげてくださいね。

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