猫の発情期(さかり)はいつ?期間や特徴的な鳴き声、飼い主ができる対処法を解説

猫には、子孫を残すための本能的な「発情期」があります。愛猫がいつもと違う大きな声で鳴いたり、特有の行動をとったりするため、初めて猫の発情期に直面した飼い主さんは驚いてしまうかもしれません。

しかし、猫の発情期は自然な生理現象です。発情期の時期や期間、特有のサインや対処法をあらかじめ知っておくことで、猫と飼い主さん双方のストレスを軽減できます。この記事で、猫の発情期との上手な付き合い方を学びましょう。

猫の発情期はいつ?時期は?

猫の発情期は、日照時間(明るい時間)の長さに影響される「季節繁殖動物」です。そのため、日が長くなる春から夏(おおよそ1月~9月頃)に発情することが多いです。

ただし、現代では室内飼いの猫が一般的で、夜間も照明がついている環境で暮らしています。1日の日照時間が12時間以上確保されると、季節に関係なく一年中発情する可能性があります。特に繁華街の近くに住む外猫なども、季節性なく発情期を迎えることが現状です。

猫の発情期、期間は?サインは?

猫が発情している期間は個体差がありますが、平均して2〜3週間ほど続き、これが年に数回繰り返されます。発情の期間や頻度は、年齢、飼育環境(周りに異性の猫がいるか)、完全室内飼いかによっても大きく異なります。

発情期が近づくと、特にメス猫は次のようなサイン(行動)を見せることがあります。

  • 大きな特徴的な声で鳴く(盛り鳴き)
  • 体を床や家具、飼い主さんにこすりつける(ローリング)
  • お尻を高く持ち上げるポーズをとる
  • 尿スプレー(マーキング)の回数が増える
  • 落ち着きがなくなり、外に出たがる
  • 食欲が落ちる

ただし、これらのサインが見られる期間は数日程度と短かったり、個体によってはほとんどサインを示さなかったりすることもあります。発情のサインが見られないからといって、心配する必要はありません。

猫の発情期、どんな鳴き声?

猫の発情期に見られる最も特徴的な行動が「鳴き声」です。これは主に、メス猫がオス猫を惹きつけるために発する求愛行動で、「盛り声(さかりごえ)」と呼ばれます。

その鳴き声は、普段の「ニャー」という可愛らしいものとは異なり、低く大きな声で「アオーン」「ウァーオ」と、まるで人間の赤ちゃんが泣いているかのように聞こえることもあります。このメス猫の鳴き声に、近くにいるオス猫が応じる形で鳴き合うことも少なくありません。

猫は夜行性のため、特に夜間に大きな鳴き声が続くことが多く、飼い主さんやご近所にとって悩みの種になることがあります。

オス猫の発情期、対策は?

オス猫は発情したメス猫の鳴き声やフェロモンに刺激されて発情します。大きな声で鳴き続ける、スプレー行動(マーキング)、脱走を試みるなどの問題行動が見られるため、適切な対策が必要です。

オス猫の発情期における主な対策は「去勢手術」ですが、その他の方法も合わせて解説します。

去勢手術

去勢手術は、精巣を摘出することで発情行動を根本的になくす、最も確実で一般的な対策です。発情期のストレスや問題行動がなくなるだけでなく、精巣腫瘍などの生殖器系の病気を予防できるという大きなメリットがあります。ただし、手術には全身麻酔のリスクや、術後に太りやすくなるなどのデメリットも考慮する必要があります。

メス猫との接点をなくす

未避妊のメス猫との接触を完全に断つことで、オス猫の発情をある程度抑制できます。しかし、多頭飼いの場合や、近所に野良猫がいる環境では非常に困難です。また、発情の根本的な欲求はなくならないため、猫にとってはストレスが溜まる原因にもなります。

またたび

またたびを与えると、一時的に猫の気分を紛らわすことができます。しかし、これは根本的な解決策にはならず、効果も持続しません。またたびへの反応には個体差があり、過剰に与えると呼吸器系に影響が出る可能性もあるため、使用には注意が必要です。

メス猫の発情期、対策は避妊手術?綿棒を使って膣刺激?

メス猫の発情期の対策として最も有効で推奨されるのは「避妊手術」です。手術以外の方法についても解説しますが、注意点があります。

メス猫の主な対策は以下の通りです。

  • 避妊手術:卵巣・子宮を摘出する手術です。望まない妊娠を防ぐだけでなく、発情期の大きな鳴き声やストレスから解放されます。さらに、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症といった命に関わる病気のリスクを大幅に低減できるという、健康上の大きなメリットがあります。
  • 綿棒を使った膣刺激:インターネット上などで「綿棒で膣を刺激して排卵を促す」という情報が見られますが、これは非常に危険な行為です。知識のない人が行うと、膣や内臓を傷つけ、深刻な感染症を引き起こす可能性があります。獣医師以外の人が絶対に行わないでください。

愛猫の健康と安全を考えるなら、発情期の対策は避妊手術が第一の選択肢となります。費用やリスクについて、かかりつけの獣医師とよく相談しましょう。

猫の発情期との付き合い方

猫にとって発情は自然な本能ですが、交尾ができない状況が続くと大きなストレスとなり、問題行動や体調不良につながることもあります。

もし子猫を望んでいないのであれば、去勢・避妊手術を行うことが、猫と飼い主双方にとって最も穏やかな選択肢と言えるでしょう。手術によって発情期のストレスから解放され、特定の病気のリスクも減り、より健康で長生きできる可能性が高まります。

手術をしない場合は、おもちゃで遊んで気を紛らわせたり、静かで安心できる環境を整えたりと、できる限りストレスを軽減する工夫が必要です。猫の発情期に関する悩みや疑問は、一人で抱え込まず、必ずかかりつけの動物病院に相談してください。

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