あなたの猫、肥満かも?チェック方法と原因、健康的なダイエット法

「うちの子、少し丸くなったかも?」と感じていませんか。猫も人間と同様、食べ過ぎると肥満になります。

猫の肥満は、見た目のかわいさとは裏腹に、糖尿病や関節炎など、さまざまな病気を引き起こすサインかもしれません。特に、高齢猫や室内飼いで運動量の少ない猫、避妊・去勢手術後の猫は注意が必要です。

肥満は体に様々な不調をもたらす可能性があります。もし愛猫が肥満気味であれば、健康のために飼い主さんがしっかりと対策してあげたいですよね。しかし、猫の肥満度は猫種や個体によって基準が異なるため、どのように判断すれば良いのでしょうか。

この記事では、愛猫が肥満かどうかをチェックする方法から、肥満の主な原因、食事と運動による具体的なダイエット方法までを詳しく解説します。

愛猫に健康で長生きしてもらうために、飼い主として何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

肥満の猫と平均体重のライン

猫の健康的な体重は、猫種や骨格によって異なりますが、一般的には約3〜5kgが平均とされています。

もともと体が大きい猫種は7〜8kgあっても肥満とは限りませんし、逆に小柄な猫種であれば、体重が3kg以下でも健康な場合があります。

猫の肥満度を測る一つの基準として、以下の点が挙げられます。

  • 猫の理想体重は「生後1年時点の体重」
  • その体重より20%(1.2倍)以上増えたら肥満のサイン

子猫の頃から一緒にいる場合は、愛猫の今後の体重管理のためにも、1歳時点での体重を記録しておくことをおすすめします。

1歳を過ぎてから迎えた猫で、1歳時点の体重がわからない場合は、かかりつけの動物病院に過去の診察記録が残っているか確認してみましょう。

もし現在の体重が1歳時点の体重を20%以上超えているなら、肥満の原因を探り、愛猫の健康維持のために適切な対策を始めることが重要です。

肥満かどうかの測定方法

ダイエットを始める前に、まずは愛猫が本当に肥満なのかを客観的にチェックすることが大切です。

動物病院では「ボディコンディションスコア(BCS)」という指標を使います。ご自宅でも、以下のポイントで確認してみましょう。

測定方法

ボディコンディションスコア(BCS)

BCS1 やせすぎ
BCS2 体重不足
BCS3 理想体重
BCS4 体重過剰
BCS5 肥満

ボディコンディションスコア(BCS)は、猫の見た目と体に触れたときの脂肪の付き具合から、肥満であるかを判断するために使われる5段階の指標です。多くの獣医師が診断に用いており、飼い主さんでも愛猫が肥満かどうかを客観的に判断する目安になります。


参考
日頃の体調管理環境省

BCS測定のコツ

BCSの測定は、以下の3つのポイントをチェックします。主観が入りやすいため、あくまで目安として活用してください。

肋骨(あばら骨)のチェック

  • なんとなく骨が触れる:BCS4(体重過剰)
  • 脂肪に覆われて肋骨がどこにあるかわからない:BCS5(肥満)

くびれのチェック(立った状態で真上から見る)

※座っていると体が丸く見えるため、必ず立った状態で確認しましょう。

  • どこがくびれか、かろうじてわかる:BCS3(理想体重)
  • くびれが膨らんでいる気がする:BCS4(体重過剰)
  • くびれるべき部分が明らかに膨らんでいる:BCS5(肥満)

お腹のチェック(立った状態で横から見る)

※一度肥満で伸びたお腹の皮膚は、ダイエットをしても元に戻らないことがあります。

  • お腹のラインが地面と平行:BCS3(理想体重)
  • お腹のラインが地面の方に傾いている:BCS4(体重過剰)
  • お腹が垂れ下がり、地面に着きそうに見える:BCS5

もし肋骨が分かりにくかったり、ウエストのくびれがなかったりする場合は、肥満の可能性があります。

猫が肥満になる5つの主な原因

猫が肥満になってしまう原因は一つではありません。主な原因を理解し、ご自身の愛猫に当てはまるものがないか確認しましょう。

肥満原因1. カロリーの過剰摂取(フードやおやつの与えすぎ)

愛猫がおいしそうに食べる姿は嬉しいものですが、フードやおやつの与えすぎは肥満の最大の原因です。猫にも体重や年齢に応じた1日の適切な摂取カロリーがあります。それを超えてしまうと、消費しきれないエネルギーが脂肪として蓄積されてしまいます。

おやつを与える際は、そのカロリー分、一日のフード量を減らすなどの調整が不可欠です。かわいくおねだりされても、愛猫の健康を第一に考え、心を鬼にすることも時には大切です。

肥満原因2. 年齢とフードのミスマッチ

猫も年齢を重ねると運動量が減り、基礎代謝が落ちてきます。活発な成猫期と同じフードを同じ量与え続けていると、カロリーオーバーになりがちです。

ポイント

「子猫用」「成猫用」「シニア用」など、ライフステージに合わせたフードを選びましょう。愛猫の年齢、体調、活動量に合わせてフードを見直すことが重要です。

肥満原因3. 運動不足

特に室内飼いの猫は、運動不足に陥りがちです。消費カロリーが摂取カロリーを下回れば、当然太りやすくなります。性格や年齢によっては、自分からあまり動かない子もいるため、飼い主さんの工夫が必要です。

ポイント

キャットタワーの設置や、おもちゃで遊ぶ時間を意識的に作るなど、愛猫が楽しく運動できる環境を整えてあげましょう。

肥満原因4. 避妊・去勢手術後の体質変化

避妊・去勢手術後は、ホルモンバランスの変化により、食欲が増加する一方で、代謝が落ちて太りやすくなる傾向があります。手術前と同じ食事を続けていると、気づかないうちに体重が増えてしまうことが少なくありません。

ポイント

「避妊・去勢後用」のフードや、低カロリーのフードに切り替えることを検討しましょう。

肥満原因5. キャットフードの質

安価なキャットフードの中には、主原料にトウモロコシや小麦などの穀物を多く使用しているものがあります。猫は本来肉食動物であり、穀類の消化は得意ではありません。過剰な糖質はエネルギーとして使われにくく、脂肪として蓄積されやすいです。

ポイント

フードを選ぶ際は、主原料が良質なタンパク質(肉や魚)であるかを確認しましょう。肥満が気になる猫には、高タンパク・低炭水化物のフードがおすすめです。

【食事編】今日から始める!猫のダイエット成功のコツ

ダイエットの基本は食事管理です。無理なく続けられる方法を取り入れましょう。

1. 適切な食事量を正確に計量する

まずは、フードのパッケージに記載されている「給与量」を確認しましょう。ただし、これはあくまで目安です。愛猫の現在の体重ではなく**「理想体重」**を基準に計算することが大切です。

1日に必要なカロリーの計算式(目安)

成猫(維持期): 理想体重(kg) × 70~80kcal

肥満気味の猫: 理想体重(kg) × 35~40kcal

フードのカロリーと照らし合わせ、1日の給与量を正確に計量カップやスケールで計りましょう。不明な場合は、かかりつけの獣医師に相談するのが最も確実です。

2. 食事の回数を増やして満足度アップ

1日のフードの総量は変えずに、食事の回数を3〜5回に小分けにして与える方法も効果的です。1回あたりの量が減ることで早食いを防ぎ、食事と食事の間隔が短くなることで空腹によるストレスを軽減できます。

3. 「早食い防止」で満腹感を得やすくする

肥満の猫は早食いしがちです。早食いをすると満腹感を得にくく、食後も物足りなさを感じてしまいます。

ゆっくり食べさせることで満腹中枢が刺激され、満足感を得やすくなります。突起や迷路状の「早食い防止食器」を活用するのも良いでしょう。

4. ダイエットフードに切り替える

ダイエットで最も危険なのは、自己判断でフードの量を極端に減らすことです。必要な栄養素まで不足し、健康を損なう恐れがあります。

量を減らすのではなく、低カロリー・高タンパクで、満腹感を得やすいように食物繊維が調整された「ダイエットフード(体重管理用フード)」に切り替えましょう。

vet所属獣医師先生

市販の総合栄養食にはビタミンやミネラルが十分に含まれています。自己判断でサプリメントを追加すると、かえって栄養過多で病気を引き起こすこともあるので注意してください。

【運動編】楽しく痩せる!運動不足解消アイデア

食事管理と合わせて、適度な運動を取り入れ、消費カロリーを増やしましょう。

1. キャットタワーで上下運動を促す

猫は高い場所を好む習性があります。キャットタワーを設置すれば、登り降りするだけで自然な上下運動ができ、ストレス解消にも繋がります。

2. おもちゃで狩猟本能を刺激する

猫じゃらしやボールなどのおもちゃを使って、飼い主さんが一緒に遊んであげましょう。1日5分〜10分でも構いません。猫の狩猟本能をくすぐることで、楽しく運動量を増やすことができます。

3. 日常生活で自然に動く工夫

フード、水飲み場、トイレをそれぞれ少し離れた場所に設置するだけでも、室内の移動距離が増え、運動に繋がります。

愛猫の健康長寿のために、肥満を放置しないことが大切

肥満は、じわじわと愛猫の体を蝕む「病気」の始まりです。糖尿病、関節炎、心臓病など、さまざまなリスクを高めてしまいます。

愛猫が健康で、一日でも長くそばにいてくれるように、日々の食事と運動の管理は飼い主さんの大切な役割です。かわいくおねだりされると、つい甘やかしたくなりますが、そこはぐっと我慢。愛猫の将来の健康のための愛情です。

もしダイエット方法に迷ったり、愛猫の体調に不安を感じたりした場合は、一人で抱え込まず、必ずかかりつけの動物病院に相談してください。

vet所属獣医師先生

肥満は万病のもとです。特に糖尿病は重症化すると命に関わります。健康が第一ですので、適切な食事と適度な運動を心がけ、愛猫との幸せな毎日を守ってあげましょう。

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