「猫にシャンプーは本当に必要なの?」「自宅でシャンプーをしたいけど、やり方がわからない」と悩んでいませんか。猫は犬と違い、必ずしもシャンプーが必要なわけではありませんが、適切なケアが必要な場面もあります。
この記事では、猫のシャンプーの必要性や適切な頻度、初心者でもわかるシャンプーの具体的な方法とコツを徹底解説します。お湯の温度設定から、猫が嫌がる場合の対処法まで詳しくまとめているので、ぜひ参考にしてください。
猫にシャンプーは必要?頻度は?
基本的に、猫は自分で体を舐めてきれいにする「グルーミング」という習性があるため、健康な短毛種の猫であればシャンプーは必ずしも必要ありません。過度なシャンプーは、かえって皮膚の油分を奪い、トラブルの原因になることもあります。
しかし、以下のような場合はシャンプーを検討しましょう。
- 長毛種の猫:毛が長く汚れやすいため、毛玉防止や衛生管理のために定期的なシャンプーが推奨されます。
- 肥満や高齢の猫:自分でグルーミングが十分にできなくなり、体が汚れやすくなるため、補助としてシャンプーが必要です。
- 皮膚病の治療:獣医師から薬用シャンプーを指示された場合。
猫のシャンプーの頻度は、長毛種でも2ヶ月に1回程度が目安です。グルーミングが困難な肥満の猫や老猫の場合は、汚れ具合を見ながら月に1回程度行うとよいでしょう。
猫にシャンプーが必要なのはどういうとき?
定期的なケアとは別に、以下のような突発的な状況では猫にシャンプーが必要になります。
- 体がひどく汚れたとき:排泄物や泥、油などで体が汚れてしまい、グルーミングだけでは落とせない場合。
- 強い臭いがするとき:特に未去勢のオス猫がする「スプレー(マーキング)」の尿は臭いが強烈です。体についてしまった場合は、臭いを取るためにシャンプーが必要です。
- 皮膚トラブルがあるとき:フケや抜け毛が異常に多い場合、シャンプーで皮膚を清潔に保つことが改善につながるケースがあります。(※まずは獣医師に相談しましょう)
- アレルギー対策:猫アレルギーを持つ家族がいる場合、シャンプーでアレルゲンを洗い流すことが有効です。
このように、猫の健康や衛生、同居する人間の快適な生活のためにシャンプーが必要になることがあります。
猫のシャンプーの方法とコツ1.準備
猫のシャンプーをスムーズに進めるには、事前の準備が非常に重要です。猫のストレスを最小限に抑えるため、必要なものをすべて揃えてから始めましょう。
【シャンプー前に準備するもの】
- 猫用シャンプー
- 洗面器やバケツ
- 滑り止めマット(浴室やシンク用)
- 吸水性の高いタオル(2〜3枚)
- ブラシ、コーム
- コットン
- ドライヤー
- ご褒美用のおやつ
【シャンプー前の手順】
- ブラッシング:まず、シャンプー前に必ずブラッシングを行い、毛の絡まりや毛玉を取り除きます。毛玉は水に濡れると固く締まってしまい、取り除くのが困難になるため、この段階で丁寧に行うのがコツです。
- 爪切り:暴れた際に引っかかれて怪我をしないよう、事前に爪を切っておくと安心です。
- 耳のケア:シャンプーの水が耳に入ると外耳炎の原因になります。予防として、水を弾くコットンを優しく耳に詰めておきましょう。
これらの準備を万全に整えることで、シャンプー本番の作業を短時間で終えられます。
猫のシャンプーの方法とコツ2.濡らし方とお湯の温度
猫を驚かせないよう、優しく体を濡らしていくのがシャンプー成功のコツです。お湯の温度は、猫の平熱に近い37℃前後のぬるま湯が最適です。熱すぎても冷たすぎても猫が嫌がる原因になります。
【上手な濡らし方の手順】
- 足元から慣らす:いきなり体からかけるのではなく、まず足元からゆっくりお湯をかけて、水に慣れさせます。
- お尻から首に向かって濡らす:猫が安心しやすいよう、心臓から遠いお尻や背中から首に向かって、ゆっくりと濡らしていきます。
- シャワーは密着させる:シャワーを使う場合は、シャワーヘッドを猫の体にぴったりと密着させ、水圧や音を最小限に抑えるのが重要なコツです。怖がる場合は、洗面器に溜めたお湯を手やスポンジで優しくかけてあげましょう。
【注意点】
顔は非常にデリケートで、ほとんどの猫が濡らされるのを嫌がります。シャンプー中は顔にお湯をかけず、最後に濡らしたタオルで優しく拭く程度に留めましょう。
猫のシャンプーの方法とコツ3.洗い方
体を濡らしたら、いよいよシャンプーで洗っていきます。このとき、必ず「猫用」と記載されたシャンプーを使用してください。人間用のシャンプーは猫の皮膚には刺激が強く、皮膚トラブルを引き起こす可能性があるため危険です。
【正しい洗い方の手順】
- シャンプーを泡立てる:シャンプー液を直接猫の体につけるのではなく、手や泡立てネットでよく泡立ててから使います。泡で洗うことで、皮膚への負担を減らし、汚れを効率よく落とせます。
- 背中から洗う:泡を背中に乗せ、毛の流れに沿って優しくマッサージするように洗います。
- 全身を洗う:首、お腹、足、しっぽの順に洗っていきます。特に、足先や肉球の間、お尻周りは汚れが溜まりやすいので、指の腹を使って丁寧に洗いましょう。
ゴシゴシと強くこするのではなく、指の腹で優しくマッサージするように洗うのが、猫にリラックスしてもらうためのコツです。
猫のシャンプーの方法とコツ4.流し方
シャンプーのすすぎ残しは、皮膚炎の原因になったり、猫が舐めて体調を崩したりする危険があるため、シャンプーで最も重要な工程です。泡が完全になくなるまで、丁寧に洗い流しましょう。
【上手な流し方のコツ】
- 顔にかからないように注意:濡らすときと同様、顔にシャワーやお湯がかからないよう、首から下に流していきます。飼い主さんの手で顔をガードしながら流すと安全です。
- シャワーヘッドを密着させる:シャワーを使う際は、体に密着させて水の勢いを和らげながら、毛の根元からしっかりとすすぎます。
- すすぎ残しやすい部分をチェック:脇の下、お腹、内股、しっぽの付け根は泡が残りやすい場所です。指で毛をかき分けながら、ぬめり気がなくなるまで念入りに流してください。
時間をかけすぎると猫の体力を奪ってしまうため、手早く、しかし確実に行うことが大切です。
猫のシャンプーの方法とコツ5.乾かし方
シャンプー後の濡れた体を放置すると、体温が下がってしまったり、雑菌が繁殖して皮膚病の原因になったりします。シャンプーの最後の仕上げとして、素早く、そして完全に乾かすことが重要です。
【乾かし方の手順】
- タオルドライ:まず、吸水性の高いタオルを数枚使い、猫の体を優しく包み込むようにして水分を徹底的に拭き取ります。ゴシゴシこすらず、押さえるように拭くのがコツです。ここでしっかり水分を取っておくと、ドライヤーの時間を短縮できます。
- ドライヤーで乾かす:タオルドライ後、ドライヤーを使って完全に乾かします。ドライヤーの音や風を怖がる猫も多いため、以下の点に注意してください。
【ドライヤー使用時の注意点】
- 猫から30cm以上離す:やけどを防ぐため、ドライヤーは体から十分に離し、同じ場所に温風が当たり続けないように常に動かします。
- 弱温風・弱風量で:猫が驚かないよう、一番弱い設定から始めましょう。
- 顔や耳に直接風を当てない:風が顔に直接当たらないよう、手でガードしながら乾かします。
- ブラシを使いながら:ブラシで毛をときながら乾かすと、根元からしっかり乾き、仕上がりも美しくなります。
生乾きの状態は雑菌の温床になるため、「完全に乾いた」と確認できるまで、根気よく続けてあげましょう。
猫がどうしてもシャンプーやお湯を嫌がる場合は?
どうしてもお湯やシャワーを嫌がる猫に、無理やりシャンプーをするのは禁物です。猫にとって大きなストレスとなり、シャンプーがトラウマになってしまう可能性があります。
そんなときは、水を使わない代替品を試してみましょう。
- ドライシャンプー:泡やパウダーを体に揉み込み、タオルで拭き取るタイプのシャンプーです。手軽に汚れや臭いを軽減できますが、洗浄力は水を使ったシャンプーに劣ります。猫が舐めても安全な成分のものを選びましょう。
- シャンプーシート:シャンプー成分が含まれたウェットシートで体を拭く方法です。部分的な汚れを落とすのに便利で、猫への負担も最小限で済みます。
これらのアイテムを使っても汚れが落ちない場合や、どうしても全身を清潔にしたい場合は、動物病院やペットサロンなど、プロに任せるのも賢明な選択です。猫の扱いに慣れた専門家なら、猫の負担を最小限に抑えながらシャンプーをしてくれます。
シャンプーと一緒にやりたい!肛門のう絞り
せっかくシャンプーをするなら、一緒に「肛門腺(こうもんせん)絞り」も行うと効率的です。肛門腺とは、肛門の左右(時計の4時と8時の方向)にある一対の袋で、強い臭いのする分泌物が溜まっています。
通常は排便時に一緒に排出されますが、体質や加齢によって溜まりやすくなることがあります。放置すると、お尻をこする、悪臭がする、炎症を起こして破裂する(肛門腺破裂)といったトラブルにつながるため、定期的なケアが推奨されます。
【肛門腺絞りの方法】
- しっぽを優しく持ち上げ、肛門を露出させます。
- 肛門の左右斜め下にある袋を、親指と人差し指で探します。
- 袋を確認したら、指でつまむように下から上へ、ゆっくりと圧をかけて分泌物を絞り出します。
分泌物は非常に強い臭いがするため、シャンプー中に浴室で行い、絞り出した後はすぐに洗い流すのがおすすめです。ただし、初めての方やコツが掴めない場合は、無理せず動物病院やトリミングサロンでお願いしましょう。誤った方法で行うと、肛門周りを傷つけてしまう可能性があります。