猫の下痢が続く原因は?食事の注意点と嘔吐など危険な症状

猫は慢性的に下痢をしやすい動物です。猫の下痢は、軟便が数日続くだけでなく、嘔吐や血便を伴うこともあり、飼い主さんにとっては心配の種です。日々の体調管理は大切ですが、愛猫の下痢が続く場合はどのように対処すればよいのでしょうか?

この記事では、猫が下痢になる主な原因と、食事の与え方やご家庭でできる対策、病院へ行くべきサインについて詳しく解説します。

猫の下痢、原因は?

下痢とは、何らかの原因で腸の水分吸収がうまくいかず、便に含まれる水分量が多くなった状態を指します。猫が下痢になる原因は多岐にわたり、食事の変更やストレスといった一過性のものから、病気や感染症など、獣医師による治療が必要なケースまで様々です。

食べ物による下痢

キャットフードの食べ過ぎや、急な銘柄変更が消化器官に負担をかけ、下痢を引き起こすことがあります。これは猫の下痢の原因として最も一般的なものです。また、特定の食材に対するアレルギーが原因の場合もあります。

化学薬品や薬の副作用

治療のために服用している薬の副作用として、下痢の症状が出ることがあります。また、殺虫剤や洗剤、床用ワックスなどを誤って舐めてしまうと中毒症状として激しい下痢を起こすため、保管場所には細心の注意が必要です。薬を服用中に異変があれば、すぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。

異物の誤飲

おもちゃの破片や紐、ビニールなどを誤って飲み込んでしまうと、腸が傷ついたり詰まったりして下痢の原因となります。食欲不振や嘔吐を伴う場合は特に注意が必要です。

ストレスによる下痢

猫は環境の変化に敏感な動物です。引越し、新しいペットや家族が増えた、来客、窓の外に見知らぬ猫がいるといった些細なことでもストレスを感じ、腸の働きが乱れて下痢をすることがあります。

病気・寄生虫・ウイルス感染

猫コロナウイルスや猫パルボウイルスなどのウイルス感染、回虫などの寄生虫、細菌感染などが原因で下痢が引き起こされることがあります。子猫や高齢の猫は特に重症化しやすいため、迅速な対応が求められます。

その他

季節の変わり目や換毛期、メス猫の発情期など、体調の変化によって一時的に下痢をすることがあります。

猫が下痢になったら食事は変えた方がいい?

猫が下痢をしている時は、胃腸が弱っているため食事の与え方に配慮が必要です。一度に与えるフードの量を減らし、食事の回数を増やす「少量頻回」を心がけ、消化器官への負担を軽減してあげましょう。

ストレスや食べ過ぎなど、病気以外が原因の下痢であれば、食事の工夫で症状が落ち着くこともあります。日々の便の状態(水分量、色、形)をしっかり観察してください。

下痢が続くため、消化の良い「療法食」への切り替えを検討する場合は、自己判断で行わず、必ず獣医師に相談してください。症状に合わないフードは、かえって下痢を悪化させる可能性があります。

猫の下痢、嘔吐や血を伴うときは病院へ!ビオフェルミン薬は効く?

下痢以外に以下の症状が見られる場合や、下痢が2〜3日以上続く場合は、すぐに動物病院を受診してください。特に子猫や高齢の猫は脱水症状を起こしやすく、命に関わる危険があります。

  • 下痢だけでなく、嘔吐もしている
  • ぐったりして元気がない、食欲もない
  • 水もあまり飲まない
  • 便に血が混じっている(血便)
  • お腹を痛そうにしている

安易な自己判断は禁物です。「人間用のビオフェルミン薬が効く」という情報もありますが、人間用の薬は成分量や添加物が猫に適しておらず、かえって体調を悪化させる危険があります。必ず獣医師が処方した猫用の整腸剤や薬を使用しましょう。

病院へ行く際は、診断の助けになるため便を持参するとスムーズです。

状態を伝える際のポイント

  • 下痢はいつから、1日に何回しているか
  • 便の状態(水っぽい、ドロドロ、粘液状など)
  • 便の色(黒っぽい、赤い血が混じるなど)
  • 嘔吐の有無や回数
  • 食欲や元気の状態
  • 最近、フードを変えたり変わったものを食べたりしたか

便を持参する場合の注意点

  • できるだけ新鮮な便(排便から数時間以内が理想)を採取する
  • 乾燥しないようラップで包んだり、ビニール袋や密閉容器に入れたりする

猫が下痢をしないための対策は?元気で健康な時にできる工夫とは?

猫が下痢をすると体力を消耗し、免疫力が低下して他の病気にもかかりやすくなります。日頃から下痢を予防するために、飼い主さんができる対策や工夫をご紹介します。

  • 食事管理を徹底する
    人間の食べ物、特に味の濃いものや玉ねぎなど猫に有害なものは絶対に与えないでください。キャットフードを切り替える際は、今までのフードに新しいフードを少量混ぜ、1週間〜10日ほどかけてゆっくりと慣らしていきましょう。
  • 誤飲を防ぐ環境づくり
    ボタンや紐、輪ゴム、ビニール片、小さなおもちゃなど、猫が誤飲しそうなものは床や猫が届く場所に放置しないようにしましょう。
  • 化学薬品の管理
    洗剤や殺虫剤、人間の薬などは、猫が絶対に開けられない棚や引き出しに保管してください。
  • ストレスの少ない環境を保つ
    静かで安心できる隠れ家を用意したり、お気に入りのおもちゃで遊んであげたりして、愛猫のストレスを軽減しましょう。

気になる初期症状は獣医師に相談してみる

「いつもよりウンチが少し柔らかい」「よく見たら血が少しだけ付いている」といった飼い主さんだからこそ気がつく愛猫の小さな変化を見逃さないことが重要です。こうした初期症状を「様子見」で放置してしまうと、病気の発見が遅れる可能性があります。

vet所属獣医師先生

便の状態がわかる写真や動画を撮っておくと、診察の際に役立ちます。些細なことだと遠慮せず、まずはかかりつけの獣医師に相談してみてください。

高齢の猫の方が下痢になりやすい

猫の体調変化にいち早く気づけるよう、日々のコミュニケーションの中で健康状態をチェックする習慣をつけましょう。特に高齢の猫(シニア猫)は、消化機能や免疫力が低下するため、若い猫に比べて下痢になりやすく、長引きやすい傾向があります。食欲や飲水量、便の状態は毎日確認してあげてください。

猫の下痢の原因は様々で、誤った対応は症状を悪化させる可能性があります。「きっと一過性のものだろう」と思い込み、自然に治るのを待っている間に重症化してしまうケースも少なくありません。愛猫の様子がいつもと違う、病気かもしれないと感じたら、迷わず動物病院を受診しましょう。

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