猫は生後6ヶ月~9ヶ月頃に初めての発情期を迎え、避妊手術をしていない場合は妊娠の可能性があります。「いつもと様子が違うけど、もしかして妊娠?」と気になっている飼い主さんもいるかもしれません。猫の妊娠は、初期段階では見分けるのが難しいこともあります。
この記事では、猫の妊娠期間にみられる具体的な症状や兆候、妊娠の見分け方、そして妊娠が分かった後の食事や環境のケア方法について、獣医師の監修のもと詳しく解説します。
猫の発情期はいつ訪れる?
猫の妊娠を理解するためには、まず交配のきっかけとなる発情期の知識が欠かせません。メス猫の発情期は周期的に、特に日照時間の長くなる春から夏にかけて訪れることが多く、その鳴き声や匂いにオス猫が誘発されて発情します。発情期の猫は、オス・メス共に落ち着きがなくなり、食欲不振になったり、特有の大きな声で鳴いたりといった行動が見られます。この時期に交配が行われると、妊娠に至る可能性があります。
vet監修獣医師先生
猫の妊娠期間と症状は?
猫の妊娠期間は約63日~68日(約9週間)と比較的短いです。交配日から予測ができますが、気づかないうちに妊娠していることもあります。妊娠週数が進むにつれて、以下のような症状や兆候が現れます。
- 妊娠3週目頃(約20日):乳首が濃いピンク色に変わり、少し張ってきます(ピンクアップ)。一時的に食欲が落ちる、つわりのような症状が見られることもあります。
- 妊娠4週目頃(約30日):乳房がさらに発達し、お腹の膨らみも少しずつ目視で確認できるようになります。動物病院でのエコー検査で胎児が確認できる時期です。
- 妊娠6週目頃(約45日):食欲が旺盛になり、体重が顕著に増加します。お腹が大きくなるため、動きがゆっくりになり、活動量が減ります。
- 妊娠7週目頃(約50日):お腹にそっと手を当てると、子猫の胎動を感じられることがあります。
- 妊娠9週目頃(約60日~):乳首から乳汁が分泌されるようになると、出産が数日以内に迫っているサインです。出産直前(約24時間前)には、食欲が急激に低下する傾向があります。
見分け方はこれ!【妊娠初期】猫が床でゴロゴロし始めたら妊娠の兆候
猫の妊娠初期の兆候は、発情期の行動と似ているため見分けが難しい場合があります。例えば、性格が穏やかになったり、乳首が大きくなったりする変化はどちらの時期にも見られます。しかし、妊娠のサインとして特徴的なのが、床でゴロゴロと転がる行動です。発情期特有の大きな鳴き声が収まり、代わりに体をすり寄せたりゴロゴロしたりする様子が見られたら、妊娠している可能性が考えられます。ただし、これらの兆候は個体差も大きいため、最も確実な見分け方は動物病院で獣医師の診断を受けることです。
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【妊娠中期】母猫用のフードを与える
妊娠中期にあたる妊娠45日頃になると、お腹の胎児が急速に成長するため、母猫は多くの栄養を必要とします。食欲も旺盛になるこの時期は、普段の1.5倍程度のカロリーが必要です。栄養バランスが考慮された妊娠・授乳期の母猫用フードや、高栄養な子猫用フードに切り替えるのが理想的です。普段のフードを与える場合は、給与量の目安を確認しつつ、食事の回数を増やして与えるなど、母猫の胃腸に負担がかからないよう工夫しましょう。
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【分娩直前】母猫の様子で出産兆候がわかる!猫の出産には手助けが必要
猫の出産が近づくと、母猫の行動にいくつかの兆候が現れます。これらのサインを見逃さず、安心して出産できる環境を整えてあげましょう。主な出産兆候は以下の通りです。
- 巣作り行動:クローゼットの中や段ボール箱など、暗くて静かで安全な場所を探し始めます。
- 落ち着きがなくなる:そわそわと歩き回ったり、頻繁にトイレに行ったりします。
- グルーミング:乳房やお尻の周りを頻繁に舐めるようになります。
- 体温の低下:出産直前には体温が少し下がります。
- 甘える、または攻撃的になる:飼い主に対していつも以上に甘えたり、逆に警戒して威嚇したりと、情緒が不安定になることがあります。
飼い主の手助けとして重要なのが、産室(巣箱)の準備です。母猫が好みそうな場所に、清潔なタオルやペットシートを敷いた段ボール箱などを設置してあげましょう。静かで人があまり出入りしない場所に用意することがポイントです。
猫の妊娠期間は短い
ここまで見てきたように、猫の妊娠期間は約2ヶ月と非常に短いです。そのため、妊娠の兆候に気づいたら、すぐに出産に向けた準備を始める必要があります。母猫と生まれてくる子猫の健康のために、飼い主さんが食事や環境をしっかりサポートしてあげることが大切です。もし愛猫の様子に変化が見られ、妊娠の可能性がある場合は、まずはかかりつけの動物病院を受診し、正確な診断と今後のケアについて相談しましょう。