アメリカンスタッフォードシャーテリアの飼い方|性格・特徴・寿命・かかりやすい病気

アメリカンスタッフォードシャーテリアは、イギリス原産のスタッフォードシャーブルテリアを祖先に持ち、アメリカで独自の進化を遂げたブル系の犬種です。「アムスタッフ」という愛称でも親しまれています。

1800年代にアメリカへ渡り、その力強い体と勇敢な性格から、かつては闘犬として活躍していました。

この記事では、アメリカンスタッフォードシャーテリアの性格や特徴、迎え入れ方、適切なしつけ、寿命や注意すべき病気、そして日々の飼い方について、専門家の監修のもと詳しく解説します。

アメリカンスタッフォードシャーテリアの基本情報

まずは、アメリカンスタッフォードシャーテリアがどのような犬種なのか、歴史や特徴といった基本情報から見ていきましょう。

歴史

アメリカンスタッフォードシャーテリアのルーツは、アメリカ原産の闘犬用犬種であり、「ピットブル」の愛称で知られるアメリカンピットブルテリアと共通の祖先を持ちます。

より大きく力強い犬を好むアメリカの気質から、スタッフォードシャーブルテリアにマスティフなどを交配させ、体を大型化させていきました。その結果、闘犬としての能力が高められましたが、現在はその役割を終えています。

今では闘犬として活躍することはほとんどなく、その賢さと忠誠心からショードッグや家庭犬として飼育されることが主流となっています。

特徴

アメリカンスタッフォードシャーテリアの最大の特徴は、筋肉質でがっしりとした力強い体つきです。

闘犬の歴史を物語るように顎の力が非常に強く、重心が低く長い足は、機敏な動きを可能にします。

アメリカンスタッフォードシャーテリアの平均体重は18〜23kg、体高は43〜48cmで、中型犬に分類されます。短く硬い光沢のある被毛は体に密着しており、毛色は単色からパーティーカラー、斑入りまで、様々なバリエーションが認められています。

日本では希少?アメリカンスタッフォードシャーテリアの迎え入れ方法

アメリカンスタッフォードシャーテリアは、日本ではなかなか出会うことのできない希少な犬種です。

ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数データによると、2021年の登録はわずか1頭で、2023年には登録リストに名前がありませんでした。このことからも、日本国内での繁殖は極めて少ないことがわかります。

国内で専門のブリーダーを見つけることは難しく、迎え入れるには海外のブリーダーから輸入する方法も視野に入れる必要があり、難易度は非常に高いと言えるでしょう。

アメリカンスタッフォードシャーテリアの性格は?

アメリカンスタッフォードシャーテリアの性格は、その歴史的背景から二面性を持っていると言われます。ここではその具体的な性格について掘り下げていきます。

性格のキーワード

闘争心と勇敢さ
人懐っこく愛情深い
飼い主に忠実
社交的な一面も

闘犬由来の闘争心と力の強さ

アメリカンスタッフォードシャーテリアは、もともと闘犬として作出された犬種のため、根底には強い闘争心とファイター気質を持っています。非常に力が強く、他の犬に対して攻撃的な態度を見せることがあるため、子犬期からの徹底した社会化トレーニングが不可欠です。

家族には愛情深く従順なパートナー

闘犬としての歴史がある一方で、選択的な繁殖により、現代のアメリカンスタッフォードシャーテリアは穏やかで安定した性格を持つようになりました。飼い主やその家族には非常に従順で深い愛情を示し、危険を察知した際には家族を守ろうと勇敢に振る舞います。正しく育てられれば、子どもや他の人とも社交的に接することができる、素晴らしい家庭犬になります。

アメリカンスタッフォードシャーテリアの散歩やしつけは?

アメリカンスタッフォードシャーテリアの持つ力とエネルギーを正しく管理するためには、適切な散歩としつけが極めて重要です。

散歩・運動

アメリカンスタッフォードシャーテリアは豊富な運動量を必要とします。1回60分程度の散歩を1日2回を目安に、毎日欠かさず行いましょう。

単調な散歩だけでなく、ドッグランでの全力疾走や、アジリティなどのドッグスポーツを取り入れるのがおすすめです。身体的・精神的な刺激が不足すると、ストレスから問題行動を起こすことがあるため、運動欲求を十分に満たしてあげることが大切です。

しつけ

アメリカンスタッフォードシャーテリアを家族として迎えるなら、徹底した服従訓練が必須です。

闘犬としての気質から、他の犬に優位性を示そうとしたり、場合によっては飼い主に反抗的な態度をとったりする可能性もゼロではありません。適切なしつけを怠ると、その力の強さから思わぬ事故につながる危険性があります。子犬の頃から、飼い主がリーダーであることを明確に示し、他の犬や人との正しい関わり方を教え込む必要があります。

正しく訓練すれば、非常に忠実で愛情深いパートナーになりますが、その難易度の高さから、犬の飼育初心者には難しい犬種と言わざるを得ません。

アメリカンスタッフォードシャーテリアの寿命や病気は?

大切な家族の一員として長く健康に過ごしてもらうために、アメリカンスタッフォードシャーテリアの平均寿命や、かかりやすい病気について知っておきましょう。

寿命

平均寿命

12年~16年

アメリカンスタッフォードシャーテリアの平均寿命は約12年~16年と、中型犬としては比較的長寿な傾向にあります。

病気

気を付けたい病気

先天性の心疾患
股関節形成不全
悪性・良性腫瘍
白内障

アメリカンスタッフォードシャーテリアが注意したい病気には、遺伝的な要因が関わる「先天性の心疾患」や「股関節形成不全」、そして加齢に伴いリスクが高まる「悪性腫瘍」や「白内障」などがあります。

特に「股関節形成不全」は、股関節が変形し痛みを伴う病気で、肥満や過度な運動が発症リスクを高めます。アメリカンスタッフォードシャーテリアは闘犬であった名残から痛みを我慢強い性質があるため、飼い主が異変に気づきにくいことがあります。

歩き方がおかしい、運動を嫌がるなどのサインを見逃さないよう、日頃から愛犬の様子を注意深く観察することが、病気の早期発見につながります。

vet所属獣医師先生

股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方やモンローウォークと呼ばれる腰を左右に振る歩き方をします。このような歩き方をしていたら動物病院を受診しましょう。また、白内障になってしまったら、視界が悪くなるため、家の模様替えを控えるようにしましょう。また、ぶつかったら危ない角にはガードを付けるなど二次的な怪我の防止に努めましょう。

アメリカンスタッフォードシャーテリアの飼い方は?

アメリカンスタッフォードシャーテリアと安全で快適な生活を送るために、具体的な飼い方のポイントや準備するもの、日々のお手入れについて解説します。

飼育前に必要な確認事項

闘犬の血を引く犬種は、一部の国や地域、集合住宅で飼育が制限・禁止されている場合があります。アメリカンスタッフォードシャーテリアを迎え入れる前には、お住まいの自治体やマンションの規約を必ず確認してください。海外へ同伴する際も、渡航先の国の規定を事前に調べておく必要があります。

迎える前に準備するものリスト

準備するもの

飼育スペース(頑丈なケージやサークル)
食器類・滑りにくい床材
丈夫な首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
各種ケア用品
かかりつけの動物病院

アメリカンスタッフォードシャーテリアとの生活をスムーズに始めるために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」といった準備を事前に整えておきましょう。

飼育スペース・ケージ

安心して過ごせるパーソナルスペースを確保しましょう。力が強いため、脱走や破壊を防げる頑丈なサークルやケージを選びます。家族とのコミュニケーションを求める犬種なので、目の届きやすいリビングなどにスペースを設ける室内飼いが基本です。ただし、自治体によっては屋外飼育が義務付けられている場合もあるため、ルールを必ず確認し従ってください

vet所属獣医師先生

クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。

食器類・床材

食事用の食器と水飲み用のボウルを準備します。耐久性があり、食事中に動かない安定感のあるものを選びましょう。また、フローリングは滑りやすく関節に負担をかけるため、滑り止めのマットやカーペットを敷いてケガを予防してください。

首輪やリード・おもちゃ

散歩時の強い引きにも耐えられる、丈夫な素材の首輪(またはハーネス)とリードは必須です。また、噛む力が強いため、壊れにくい丈夫なおもちゃや知育トイを用意し、遊びを通してストレス発散やコミュニケーションを図りましょう。

ドッグフードとおやつ

主食には、年齢と活動量に合った高品質な「総合栄養食」のドッグフードを選びましょう。しつけのご褒美として、おやつも用意しておくとトレーニングがスムーズに進みます。

トイレ用品

室内で飼育する場合、犬用のトイレトレーと吸収性の高いペットシーツを用意します。子犬の頃から決まった場所で排泄できるよう、トイレトレーニングを行いましょう。

ケア用品

ブラッシング用のブラシ、犬用シャンプー、爪切り、歯ブラシなどのケア用品を揃え、日頃から清潔を保つことが健康維持につながります。

動物病院

万が一のケガや病気に備え、また定期的な健康診断や予防接種のために、信頼できるかかりつけの動物病院を事前に見つけておくと安心です。

日々のお手入れ方法

お手入れ項目

被毛ケア(ブラッシング)
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り

アメリカンスタッフォードシャーテリアの健康を維持するためには、日々のお手入れが欠かせません。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」を定期的行い、愛犬の体を清潔に保ちましょう。

被毛ケア

短毛ですが、抜け毛はあります。週に1〜2回、ラバーブラシなどでブラッシングを行い、死毛を取り除き皮膚の血行を促進しましょう。汚れが気になるときは、固く絞った濡れタオルで拭くだけでもきれいになります。

シャンプー

シャンプーは月に1回程度が目安です。皮膚が敏感な場合もあるため、犬用の低刺激シャンプーを使い、洗い残しがないようしっかりすすいであげてください。

耳掃除

垂れ耳ではないですが、定期的に耳の中をチェックし、汚れていればイヤーローションを染み込ませたコットンで優しく拭き取ります。悪臭や過度な耳垢がある場合は、病気の可能性もあるため獣医師に相談しましょう。

歯磨き

歯周病予防のため、毎日の歯磨きを習慣にしましょう。犬用の歯ブラシや歯磨きシートを使い、歯垢が歯石になる前に除去することが大切です。難しい場合は、歯磨きガムやおもちゃを活用するのも一つの方法です。

爪切り

爪が伸びすぎると歩行に支障をきたしたり、根元から折れてケガをしたりする原因になります。月に1〜2回、爪の伸び具合を確認し、血管を傷つけないように注意しながら切りましょう。

vet所属獣医師先生

日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。

アメリカンスタッフォードシャーテリアにおすすめのドッグフードは?

筋肉質な体を維持し、健康をサポートするために、アメリカンスタッフォードシャーテリアの食事選びは重要です。ここではドッグフードの選び方や、食欲がないときの対処法を紹介します。

「総合栄養食」と「一般食」の選び方

毎日の主食として与えるなら、「総合栄養食」の表示があるドッグフードを選びましょう。これと水だけで、犬に必要な栄養素をバランス良く摂取できます。筋肉の元となるタンパク質が豊富な、主原料が肉類のフードがおすすめです。

手作り食の補助や食欲増進のトッピングとして使うなら、「一般食」(おかずタイプ)が適しています。栄養バランスを崩さないよう、与えすぎには注意しましょう。

食事量

ドッグフードのパッケージに記載されている給与量は、あくまで目安です。愛犬の年齢、体重、体型、運動量に合わせて量を調整することが大切です。BCS(ボディ・コンディション・スコア)を参考に、理想的な体型を維持しましょう。

ごはんを食べないときの対処法

愛犬がご飯を食べないとき、考えられる理由は様々です。主に「フードへの飽き」「体調不良」「ストレス」「病気」などが挙げられます。以下の対処法を試してみてください。

トッピングを試す

いつものドッグフードに、茹でたササミや野菜、ウェットフードなどを少量トッピングすると、風味が増して食欲が刺激されることがあります。

フードを食べやすくする

ドライフードは、ぬるま湯でふやかすと香りが立ち、食べやすくなります。水分補給にもなるのでおすすめです。粒が大きすぎる場合は、少し砕いてあげるのも良いでしょう。

食器や環境を見直す

食器の素材や高さが気に入らない、食事場所が落ち着かないといった理由も考えられます。食器を変えたり、静かな場所に移動したりして、安心して食事ができる環境を整えてあげましょう。

動物病院で診てもらう

何を試しても食べない、ぐったりして元気がないといった場合は、病気が隠れている可能性があります。口の中に痛みがあったり、内臓に問題があったりすることも考えられますので、早めにかかりつけの動物病院を受診してください。

アクティブな犬種と一緒に暮らしたい方におすすめ?

強面な見た目とは裏腹に、家族には深い愛情を注ぐアメリカンスタッフォードシャーテリア。しかし、闘犬としての歴史から、誰にでも飼える犬種ではありません。

その飼育には、犬種特性への深い理解と、一貫性のある高度なしつけスキルが求められます。そのため、犬の飼育経験が豊富で、毎日の十分な運動時間を確保できる、アクティブなライフスタイルの方に向いている犬種です。

日本では非常に希少で、ブリーダーを見つけること自体が困難です。迎え入れるには高い費用と多くの時間、そして何より情熱が必要になるでしょう。

もしあなたが、アメリカンスタッフォードシャーテリアの唯一無二の魅力に惹かれ、生涯を共にする覚悟があるのなら、まずは数少ないブリーダーにコンタクトを取ることから始めてみてはいかがでしょうか。

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