「犬の爪が伸びてきたけど、動物病院やトリミングに行く時間がない」「自宅で愛犬の爪を手入れしてあげたい」と思っていても、正しいやり方が分からなかったり、切りすぎてしまわないか心配になったりしますよね。しかし、爪切りの準備をしっかりして、いくつかのコツさえ押さえておけば、ご自宅でも安全に犬の爪を切ることができます。
この記事では、犬の爪切りの正しい仕方や適切な頻度、上手に切るためのコツ、嫌がる時の対処法、そして万が一失敗して出血させてしまったときの止血方法まで、詳しく解説します。
犬の上手な爪切りの仕方
犬と人間とでは爪の構造が全く違うため、必ず犬専用の爪切りを用意してください。ペットショップや動物病院などで1,000円前後で購入できます。安全に爪を切るための基本的な手順と注意点は以下の通りです。
- 準備:犬がリラックスできる環境を整え、爪切りのほかに、止血剤やご褒美のおやつも用意しておくと安心です。
- 保定:犬が暴れないように、片手で足首を優しくもしっかりと固定します。
- カット:爪の先端から少しずつ、角を落とすように切ります。一気に深く切ろうとせず、数回に分けて切るのがポイントです。
犬の爪の内部には、人間と同じく血管や神経が通っています。これを「クイック」と呼び、深爪をして傷つけると出血し、犬に強い痛みを与えてしまいます。爪の色によって血管の見えやすさが異なるため、以下の点を参考にしてください。
- 白い爪の犬:爪が半透明で、ピンク色に見える血管(クイック)が確認しやすいです。血管の数ミリ手前で切るようにしましょう。
- 黒い爪の犬:血管が見えにくいため、より慎重な作業が必要です。爪の先端から1〜2mmずつ切り進め、断面が湿った感じに見えたら、それが血管の近いサインなので、そこでストップします。
爪切りが終わったら、やすりで切断面の角を丸く削っておくと、犬自身や飼い主、家具などを傷つけるのを防げます。
犬の爪切り、頻度は?
月に1〜2回が目安
犬の爪切りの頻度は、その犬のライフスタイルによって異なります。
- 散歩などで外に出る機会が多い犬:アスファルトなどで自然に爪が削れるため、月に1回程度で十分な場合が多いです。
- 室内で過ごすことが多い犬:爪が削れにくいため、月に2回程度を目安に爪の状態をチェックし、必要であれば切ってあげましょう。
フローリングなどを歩くときに「カチカチ」と爪の音が聞こえるようになったら、爪が伸びてきているサインです。それを爪切りのタイミングの目安にするのも良いでしょう。
どうして犬は爪切りを嫌がるの?
犬が爪切りを嫌がるのには、いくつかの理由があります。最も多いのは、体の末端部分を触られることへの本能的な抵抗感です。足先やしっぽ、鼻先などは犬にとって非常に敏感な部分であり、拘束されることに不安や恐怖を感じます。
過去に爪切りで痛い思いをした経験がトラウマになっているケースも少なくありません。まずは「足先を触られること」自体に慣れさせることが大切です。
日頃から愛犬とのスキンシップの中で、足先に優しく触れる練習をしましょう。「足に触られても、何も怖いことは起きない」と犬が学習することで、爪切りへの抵抗感を少しずつ減らしていくことができます。
犬が爪切りを嫌がるときのコツ
愛犬が爪切りに悪いイメージを持たないよう、無理強いは禁物です。暴れてしまう犬でも、以下のコツを試すことで落ち着いて爪切りができる場合があります。
- 安定する体勢で保定する:飼い主が床に座り、背後から愛犬を優しく抱きかかえるようにすると、犬が安心しやすく、体も安定します。タオルで体をくるんであげるのも効果的です。
- 後ろ足から切る:多くの犬は、前足を触られることを特に嫌がります。比較的抵抗の少ない後ろ足から始め、徐々に前足に移ると、スムーズに進めやすいです。
- 優しく声をかける:爪切り中は「いい子だね」「上手だね」など、穏やかなトーンで声をかけ続け、愛犬をリラックスさせてあげましょう。
- 短時間で終わらせる:一度にすべての爪を切ろうとせず、「今日は右足だけ」というように、何日かに分けて行うのも有効な方法です。
爪切りを嫌がる犬、タイプ別におすすめな2つの方法
「爪切りにトラウマがある犬」や「じっとしていられない性格の犬」には、それぞれのタイプに合わせたアプローチが効果的です。
爪切りにトラウマがある犬の場合
過去に「爪切りで痛い思いをした」「無理矢理押さえつけられて怖かった」という記憶は、犬にとって強いトラウマになります。この場合、爪切りに対する恐怖心を和らげることが最優先です。
爪切りへのハードルを極限まで下げてあげましょう。例えば、「爪切りを見せるだけでおやつをあげる」「爪にカチッと音を立てるフリをして褒める」「1日に指1本だけ切って、できたらたくさん褒めておやつをあげる」など、少しずつ成功体験を積ませてあげることが大切です。
じっとしていられない犬の場合
落ち着きがなく、じっとしているのが苦手な性格の犬もいます。このタイプの犬には、少し高さのある安定した台の上に乗せて爪を切る方法がうまくいくことがあります。ダイニングテーブルや作業台など、犬が少し緊張して動きにくくなる高さが理想です。
ただし、台の上でも不意に動く可能性はあります。落下や、動きによる深爪には十分注意し、決して犬から目を離さないようにしてください。
犬の爪切りで失敗したときの止血方法
どれだけ注意していても、誤って血管を切ってしまい、出血させてしまうことはあります。万が一出血させてしまった場合は、飼い主自身がまず落ち着くことが最も重要です。飼い主がパニックになると、その不安が犬に伝わってしまいます。
出血した場合、清潔なガーゼやコットンで数分間圧迫すれば止まることも多いですが、ペット用の止血剤があるとより迅速かつ安全に対処できます。
おすすめは、専用の止血剤である「クイックストップ」などのパウダーです。粉末を直接爪の断面に押し当てることで、素早く出血を止め、同時に殺菌もしてくれます。ペットショップや通販サイトで入手できるので、万が一に備えて常備しておくと安心です。
自分で犬の爪切りができない方は動物病院へ
様々なコツや方法をご紹介しましたが、どうしても犬が嫌がってしまったり、飼い主自身が怖くてできなかったりする場合は、決して無理をする必要はありません。
無理に行うと、犬にトラウマを与えたり、大きな怪我につながったりする恐れがあります。そのような場合は、動物病院やトリミングサロンといったプロに任せましょう。費用も1,000円程度が相場で、安全かつスピーディーに処置してもらえます。