犬の健康と清潔を保つために、定期的なシャンプーは欠かせません。しかし、「シャンプーの正しい頻度ややり方は?」「子犬はいつからシャンプーできるの?」といった疑問を持つ飼い主さんも多いでしょう。
この記事では、犬にシャンプーが必要な目的から、適切な頻度、正しいやり方、嫌がる場合の対処法まで、愛犬のシャンプーに関する情報を網羅的に解説します。
犬にシャンプーする目的は?
犬にシャンプーをする主な目的は、皮膚と被毛を清潔に保ち、健康を守ることです。散歩などで付着した汚れやホコリ、花粉などを放置すると、悪臭や皮膚トラブルの原因になります。シャンプーには、以下のような大切な目的があります。
- 皮膚病の予防: 余分な皮脂や汚れを洗い流し、細菌の繁殖を防ぎます。ノミやダニの予防にも繋がります。
- 被毛の健康維持: 毛のもつれを防ぎ、美しい毛並みを保ちます。
- 健康チェックと絆づくり: 体を隅々まで触ることで、しこりや皮膚の異常などを早期発見できます。また、優しく声をかけながら行うシャンプーは、愛犬との大切なコミュニケーションの時間にもなります。
犬はシャンプーが好き?嫌い?
残念ながら、シャンプーが苦手な犬は少なくありません。犬がシャンプーを嫌いになる主な原因は、過去の怖い経験にあります。シャワーの大きな音、慣れないシャンプーの香り、ドライヤーの熱風などに恐怖を感じ、無理やり洗われた経験がトラウマになってしまうのです。
しかし、シャンプーを好きになってもらうことも可能です。飼い主さんが優しく声をかけ、おやつを与えるなどして「シャンプーは怖くない、楽しい時間だ」と教えてあげることで、愛犬は安心してシャンプーを受け入れてくれるようになります。
犬がシャンプーを嫌がる場合は?
愛犬がシャンプーを嫌がる場合、無理強いは禁物です。まずは「お風呂場=怖い場所」というイメージを払拭することから始めましょう。以下のステップで少しずつ慣らしていくのが効果的です。
いきなり全身を洗うのではなく、足先だけ、お尻周りだけなど、部分的に洗うことからスタートし、シャンプーに慣れさせましょう。[/tl
大切なのは、愛犬のペースに合わせて焦らずに進めることです。
子犬のシャンプーはいつから?
子犬のシャンプーは、生後3ヶ月以降、ワクチンプログラムが完了してから2週間ほど経った頃が一般的です。体力や免疫力がまだ十分でないため、ワクチン接種前にシャンプーをすると体調を崩してしまう可能性があります。
特に、ワクチンを接種した当日は、注射によるストレスや疲れがあるためシャンプーは避けてください。シャンプーデビューのタイミングに不安がある場合は、かかりつけの獣医師に相談するのが最も確実です。
犬のシャンプーの頻度は?
シャンプーの頻度
シャンプーの頻度が高い犬種は?
シャンプーの頻度が低い犬種は?
年齢別は?
シャンプーの頻度
犬のシャンプーの適切な頻度は、基本的に月に1~2回が目安です。洗いすぎは、皮膚を守るために必要な皮脂まで落としてしまい、かえって皮膚の乾燥や皮膚炎を引き起こす原因になります。また、頻繁なシャンプーは犬自身の匂いを消してしまうため、ストレスに感じる子もいます。
シャンプーの頻度が高い犬種は?
皮脂の分泌が多かったり、被毛が汚れやすかったりする犬種は、シャンプーの頻度が高くなる傾向があります。具体的には、スタンダードプードル、ゴールデンレトリバー、アフガンハウンドなどの長毛種や、ラブラドールレトリバー、シベリアンハスキー、柴犬などが挙げられます。
シャンプーの頻度が低い犬種は?
被毛が短く、皮膚がデリケートな犬種は、洗いすぎると皮膚を傷つけやすいためシャンプーの頻度は低めになります。ミニチュアピンシャー、スムースコートチワワ、フレンチブルドッグなどの短毛種や、チワワ、ヨークシャーテリア、マルチーズなどが代表的です。
年齢別は?
シャンプーの頻度は、犬の年齢によっても調整が必要です。
- 子犬:体力がないため、長時間のシャンプーは避け、月1回程度を目安に体調を見ながら行いましょう。
- 成犬:月1~2回が基本です。
- シニア犬(老犬):体力や筋力が低下しているため、シャンプーは大きな負担になります。月1回程度にするか、シャンプーシートや蒸しタオルで体を拭くなど、愛犬に負担の少ない方法に切り替えることも検討しましょう。心臓に持病がある場合は特に注意が必要です。
犬のシャンプーを選ぶポイントは?
犬の皮膚は人間よりもデリケートなため、シャンプー選びは非常に重要です。以下のポイントを参考に、愛犬に合ったシャンプーを選びましょう。
- 犬専用・低刺激のものを選ぶ: 人間用のシャンプーは刺激が強すぎるため、必ず犬専用のものを使用してください。その中でも、皮膚への負担が少ない低刺激性のものがおすすめです。
- 皮膚の状態に合わせる: 乾燥肌の子には保湿成分配合のもの、皮膚がベタつきやすい子にはさっぱりと洗い上がるものなど、愛犬の肌質に合ったシャンプーを選びましょう。
- 香りが強すぎないものを選ぶ: 嗅覚の鋭い犬にとって、強すぎる香りはストレスの原因になります。無香料か、香りの控えめなものを選んであげてください。
どのシャンプーを選べば良いか迷う場合は、トリマーや獣医師に相談すると良いでしょう。
犬のシャンプーのやり方は?
正しいシャンプーのやり方をマスターして、愛犬への負担を減らしましょう。以下の手順で行うのがおすすめです。
- ブラッシング: シャンプー前に、まずブラッシングで毛のもつれをほぐし、大きな汚れを落とします。これを怠ると、濡れたときに毛玉が固まってしまいます。
- 体をお湯で濡らす: 35~38℃程度のぬるま湯で、お尻や足先からゆっくり濡らしていきます。シャワーヘッドを体に密着させると、水音や水圧の恐怖を和らげることができます。顔が濡れるのを嫌がる子が多いので、顔周りは最後にお湯を含ませたスポンジなどで優しく濡らしましょう。
- シャンプーで洗う: シャンプー液は直接体につけず、手や泡立てネットでよく泡立ててから使います。指の腹でマッサージするように、皮膚まで優しく洗いましょう。ゴシゴシ擦るのは皮膚を傷つけるのでNGです。
- すすぎ: シャンプー成分が残らないよう、しっかりとすすぎます。特に、脇の下や指の間、お腹はすすぎ残しが多い部分なので注意してください。
- 乾燥: まずは吸水性の高いタオルで、押さえるように水分を拭き取ります。その後、ドライヤーで根本からしっかりと乾かします。熱風を当てすぎないよう、ドライヤーは体から30cm以上離し、一箇所に集中しないように動かしながら乾かすのがポイントです。
やり過ぎにも注意!
愛犬を清潔にしたいという思いから、シャンプーをやり過ぎてしまう飼い主さんもいますが、それは逆効果です。犬の皮膚は非常にデリケートで、シャンプーのやり過ぎは皮膚を守るバリア機能を持つ皮脂を奪ってしまいます。
皮脂が失われると皮膚が乾燥し、フケやかゆみ、皮膚炎などのトラブルを引き起こす原因となります。散歩後の足の汚れなど、部分的な汚れが気になる場合は、毎回シャンプーをするのではなく、お湯で洗い流したり、濡れタオルで拭いたりするだけでも十分です。
愛犬にもシャンプーを!
犬のシャンプーは、単に体を清潔にするだけでなく、皮膚病の予防や早期発見、そして愛犬との大切なコミュニケーションの機会にもなります。正しいシャンプーは、愛犬の健康維持に不可欠です。
今回ご紹介した目的、頻度、やり方のポイントを参考に、愛犬に合ったシャンプーケアを実践してあげましょう。愛犬とのバスタイムが、より快適で楽しい時間になることを願っています。