老犬にトリミングは必要?適切な頻度と注意点|負担の少ない出張サービスも解説

愛犬がシニア期を迎えても、清潔で快適に過ごさせてあげたい、できればオシャレも楽しませてあげたいと思うのは飼い主として自然な気持ちですよね。しかし、老犬(シニア犬)のトリミングは、若い頃と同じようにはいかず、安全のために知っておくべき注意点も多くあります。

この記事では、老犬のトリミングの必要性から、適切な頻度、サロンで断られるケース、自宅で安全に行う方法まで、飼い主さんが知っておきたい情報を網羅的に解説します。

トリミングって何?

トリミングとは、ハサミ(シザー)やバリカンなどを使って犬の被毛をカットし、見た目を美しく整えることです。しかし、単にオシャレのためだけではありません。

余分な毛をカットすることで、愛犬のお手入れがしやすくなるだけでなく、ケガの防止や皮膚の健康を保つといった目的もあります。愛犬が快適で健康的な生活を送るために、トリミングは欠かせないケアの1つなのです。

老犬にもトリミングって必要なの?

「体力が落ちた老犬にトリミングは負担なのでは?」と心配になるかもしれませんが、老犬にこそ、健康維持を目的としたトリミングが必要です。若い頃のようにデザイン性を追求するのではなく、愛犬の安全と快適さを最優先に考えます。

具体的には、以下のような目的でトリミングが行われます。

  • 衛生管理:足裏やお尻周りの毛を短くカットし、排泄物で汚れるのを防ぎます。
  • ケガの防止:足裏の毛が伸びると滑って転倒し、関節を痛める原因になります。肉球周りをスッキリさせることで、滑り止め効果が期待できます。
  • 皮膚トラブルの予防と早期発見:毛が短くなることで、皮膚の通気性が良くなり皮膚病を予防します。また、イボやできものなどの変化にも気づきやすくなります。
  • お手入れの負担軽減:全体的に被毛を短く保つことで、日々のブラッシングなどのお手入れが楽になります。

老犬のトリミングは、生活の質(QOL)を向上させるための重要なケアと捉えましょう。

老犬のトリミング、頻度は?

老犬は体力が低下しているため、トリミングによる心身への負担は大きくなります。そのため、トリミングの頻度は愛犬の体調を見ながら、必要最低限に抑えることが大切です。一般的には、2〜3ヶ月に1回程度を目安にすると良いでしょう。

トリミング1回あたりの時間を短縮するために、全身を短めにカットしてもらったり、伸びてきた部分だけをこまめに自宅でカットしたりする工夫も有効です。シャンプーとカットを別の日に分けるなど、愛犬の負担を減らす方法をトリマーさんと相談してみてください。

老犬のトリミング、断られることもあるの?

トリミングサロンによっては、年齢制限(例:10歳以上)を設けており、老犬の受け入れを断られたり、動物病院併設のサロンを勧められたりすることがあります。

これは、トリミング中のストレスが引き金となり、持病(心臓病やてんかんなど)の発作を誘発したり、体調が急変したりするリスクが高まるためです。万が一の事態を避けるための、サロン側の安全配慮なのです。

誓約書を書かされることもある?

高齢によるリスクを丁寧に説明した上で受け入れてくれるサロンもありますが、その際に誓約書の提出を求められることが一般的です。

「トリミング中に生じた不慮の事故や体調急変について、当店では責任を負いかねます」といった内容が記載されていることが多いので、必ず内容をしっかり読んで納得した上でサインしてください。

愛犬の性格や持病をよく理解してくれている、かかりつけのトリミングサロンを見つけておくことが理想です。また、持病がある場合や体調に不安がある場合は、万が一の際に獣医師がすぐに対応できる動物病院併設のトリミングサロンを利用するのが最も安心です。

老犬のトリミング、自宅でもできる?

サロンに連れて行くのが難しい場合、自宅でトリミング(セルフケア)を行うことも可能です。ただし、安全に行うための知識と準備が必要です。

トリミングに必要なもの

バリカン(ペット用)
トリミングシザー(ハサミ)
すきバサミ
コーム・ブラシ

老犬の自宅トリミングで最も重要なのは、体に負担をかけないよう短時間で済ませることです。一度に全てを終わらせようとせず、「今日は足裏だけ」「明日はお尻周り」というように、数日に分けてこまめに行うのがおすすめです。

カット前には必ずブラッシングで毛のもつれを優しくほぐしておきましょう。

バリカンを使う方法

老犬の皮膚は弾力がなくシワが寄っているため、バリカンの刃で傷つけやすい状態です。必ずシワを優しく伸ばしながら、イボやできものがないか確認しながらゆっくり作業を進めましょう。

  • 特に注意する部位:首、脇の下、内股など皮膚が柔らかい場所は特に慎重に。
  • 汚れやすい部位:足裏、肛門周り、お腹周りは1mmの刃で短く刈ると衛生的ですが、刃を皮膚に強く当てすぎないように注意してください。
  • 顔周り:目の周りは刃先が目に入らないように、口周りは舌を巻き込まないように細心の注意を払います。

vet所属獣医師先生

慣れないうちは、ケガのリスクが低い長めのミリ数(5mmや6mmなど)の刃が付いたバリカンを使うと安心です。短すぎず長すぎず、自然な仕上がりになりますよ。

トリミングシザーを使う場合

ハサミを使う際は、刃先が愛犬の体に向かないように常に注意してください。毛を引っ張ってカットすると、皮膚まで切ってしまう危険があります。

安全な方法は、コーム(櫛)を皮膚と平行に当て、コームからはみ出た毛だけをカットするやり方です。この方法は、小さな毛玉をカットする際にも応用できます。

老犬のトリミング、出張トリミングがおすすめ?

出張トリミングは、トリマーが専用の車や機材を持って自宅に来てくれるサービスです。環境の変化が苦手な老犬や、サロンへの移動が困難な場合に非常に便利な選択肢です。

  • メリット:移動のストレスがない、慣れた自宅でリラックスできる、他の犬との接触がないため感染症のリスクが低い、飼い主がそばで見守れる。
  • デメリット:料金がサロンより割高な場合がある、作業スペースの確保が必要、自宅に他人を入れることに抵抗がある場合も。

トリミングによるストレスや体への負担を最小限に抑えられるため、出張トリミングは老犬にとって非常にメリットの大きいサービスと言えるでしょう。

最適なトリミング方法を考えてあげて!

見た目では元気そうに見えても、老犬の体は確実に変化しており、トリミングが大きな負担になることがあります。いつまでも愛犬に可愛くいてほしいという気持ちは大切ですが、これからは「おしゃれ」よりも「健康と快適さ」を最優先したケアに切り替えていきましょう。

愛犬の体調や性格に合わせて、サロン、動物病院、出張サービス、自宅ケアなど、最適なトリミング方法を獣医師やトリマーと相談しながら見つけてあげてください。それが、愛犬の穏やかで健康なシニアライフにつながります。

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