【獣医師監修】犬の白内障、目薬で治る?初期症状と治療法、手術費用について解説

犬の白内障とは、眼球のレンズの役割を担う「水晶体」が白く濁ってしまう病気です。水晶体が濁ると光が網膜まで十分に届かなくなり、視界がぼやける、視力が低下するといった症状が現れます。進行すると失明に至る可能性もあるため、普段の生活にも大きな支障をきたします。愛犬の目の健康を守るためにも、白内障の原因や症状を正しく理解し、早期発見・早期治療につなげることが大切です。

この記事では、犬の白内障の主な原因から、飼い主さんが気づきやすい初期症状、具体的な治療法や手術、さらには日頃からできる対策について、獣医師の監修のもと詳しく解説します。

犬の白内障の原因は?

犬が白内障を発症する原因は一つではありませんが、主に以下の3つが考えられています。

  • 加齢
    人間と同じく、加齢は犬の白内障の最も一般的な原因です。特に6歳以上のシニア犬(高齢犬)になると水晶体の新陳代謝が衰え、発症しやすくなる傾向があります。
  • 遺伝的要因
    犬種によっては遺伝的に白内障になりやすい場合があります。この場合、2歳以下の若い犬でも発症することがあり、「若年性白内障」とも呼ばれます。年齢だけで判断できないため注意が必要です。
  • 他の病気(続発性白内障)
    糖尿病の合併症として白内障を発症するケースも少なくありません。高血糖の状態が続くことで水晶体のタンパク質が変性し、濁りを引き起こします。

vet監修獣医師先生

糖尿病が原因の白内障は、進行が非常に早いという特徴があります。数週間から数ヶ月という短期間で視力を失ってしまうこともあるため、迅速な対応が求められます。

犬の白内障はどんな症状がでる?

白内障の初期段階では、飼い主さんが気づくような目立った症状はほとんど見られません。しかし、病気が進行するにつれて、以下のような犬の白内障特有の症状が現れ始めます。

  • 目が白く濁って見える
  • 暗い場所や夜間の散歩を嫌がるようになる
  • 歩いているときによく物にぶつかる
  • 段差でつまずきやすくなる
  • おもちゃやごはんを見つけにくそうにする

特に「黒目の中心部分が白っぽく見える」「以前より活発に動かなくなった」と感じたら、白内障が進行しているサインかもしれません。愛犬の目に少しでも変化を感じたら、自己判断せず、速やかに動物病院で獣医師の診察を受けることを強くおすすめします。

犬の白内障の治療には手術が必要?術後は目薬をするの?

犬の白内障の治療法は、進行度合いによって異なります。初期段階であれば進行を遅らせるための点眼薬(目薬)による内科治療が選択されることもありますが、視力を回復させるための根本的な治療は外科手術のみとなります。

手術では、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。手術後は、感染症や合併症を防ぐために約1週間程度の入院が必要になることが一般的です。入院中は注射や投薬、点眼治療を行いながら安静に過ごします。

退院後も、獣医師の指示に従って内服薬の投与と1日数回の目薬(点眼)を継続する必要があります。また、犬が気にして目をこすったり掻いたりするのを防ぐため、獣医師の許可が出るまではエリザベスカラーを装着させてください。術後の丁寧なケアが、視力回復の鍵を握ります。

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すでに白内障によって視力が低下している場合、愛犬が不安にならないよう、家具の配置をむやみに変えるのは避けましょう。また、部屋の角にぶつかって怪我をしないよう、コーナーガードを取り付けるなどの工夫も大切です。

犬の白内障に対策法はあるの?

残念ながら、加齢や遺伝による犬の白内障を完全に予防する確実な方法はありません。しかし、進行を遅らせたり、他の原因による発症リスクを低減させたりするための対策は可能です。最も重要なのは早期発見・早期治療です。

  • 定期的な健康診断
    年に一度は動物病院で健康診断を受け、目の状態もチェックしてもらいましょう。病気の早期発見に繋がります。
  • 原因疾患の管理
    糖尿病による白内障は、原因となる糖尿病の治療をしっかりと行うことが最も効果的な対策です。適切な食事管理やインスリン投与で血糖値をコントロールすることが重要です。
  • 生活環境の見直し
    紫外線が白内障のリスクを高める可能性も指摘されています。日差しの強い時間帯の散歩を避ける、抗酸化作用のある栄養素(ビタミンC、Eなど)を含むフードやサプリメントを検討するなど、日頃からできる対策を取り入れるのも良いでしょう。

犬の白内障はリスクが高いからこそ早期発見・早期対処を

犬の白内障は、特に年齢を重ねればどんな犬にも起こりうる身近な病気です。放置すれば視力を失い、愛犬のQOL(生活の質)を大きく低下させてしまうリスクがあります。しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば、進行を遅らせたり、視力を回復させたりすることも可能です。

日頃から愛犬の目の様子をよく観察し、「目が白くなってきたかな?」「最近よくぶつかるな」といった小さな症状のサインを見逃さないようにしましょう。気になることがあれば、すぐに動物病院に相談することが、愛犬の瞳の健康を守るための第一歩です。

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