愛犬が体をかきむしったり、しきりに地面に体をこすりつけたりしていませんか?その行動、もしかしたら人間と同じ「花粉症」のサインかもしれません。犬の花粉症は人とは症状の出方が違うため、飼い主さんが気づきにくいこともあります。
この記事では、獣医師監修のもと、犬の花粉症の症状や人との違い、動物病院での治療法、そして今日から自宅でできる対策について詳しく解説します。
犬の花粉症、人との違いは?
犬も人間と同じように花粉によるアレルギー反応を起こしますが、その症状の現れ方には大きな違いがあります。一般的に、人の花粉症はくしゃみや鼻水が主ですが、犬の花粉症は皮膚に症状が出やすいのが特徴です。
犬の花粉症で主にみられる症状
犬の花粉症では、以下のような症状がよく見られます。特に皮膚のかゆみや炎症、外耳炎などは代表的な症状です。
- 皮膚のかゆみ・赤み(特に脇、内股、指の間、膝、耳など)
- 外耳炎(耳を頻繁にかく、頭を振る)
- 体を地面や壁にこすりつける
- 目やにの増加、目の充血
- くしゃみや鼻水、咳
皮膚の炎症や外耳炎を放置すると、炎症が全身に広がるリスクがあります。かゆみを我慢できない犬が全身をかき続けると、皮膚が傷ついて化膿したり、毛が抜けたりすることもあるため、早めに動物病院へ連れて行きましょう。
犬の花粉症、診察と治療は?
愛犬にかゆみなどの花粉症が疑われる症状が続く場合は、自己判断せずに動物病院で診察を受けましょう。多くの場合、血液検査でアレルギーの原因を特定できます。原因が花粉だとわかれば、症状や重症度に応じた治療が開始されます。
症状を和らげる対症療法
症状が比較的軽い場合は、ステロイドや抗ヒスタミン薬、抗生剤などを用いて、かゆみや炎症を抑える対症療法が中心となります。これらのお薬は症状を一時的に緩和させるものですが、根本的な解決にはなりません。特にステロイドは、長期間の使用で副作用のリスクもあるため、獣医師の指示に従って正しく使用することが重要です。
根本改善を目指す減感作療法
症状が重い場合や、投薬で症状がコントロールしきれない場合には、減感作療法が選択されることがあります。これは、花粉症の原因となる抗原(アレルゲン)を少量ずつ体に投与し、徐々に体を慣れさせてアレルギー反応が起こりにくい体質を目指す治療法です。時間と費用はかかりますが、犬の花粉症の根本的な改善が期待できる治療法としておすすめです。
自宅でできる犬の花粉症対策
動物病院での治療と並行して、ご自宅でできる花粉症対策を行うことで、愛犬をアレルゲンから守り、つらい症状を和らげることができます。日常生活で取り入れられる主な対策は以下の通りです。
- 花粉が最も飛ぶ時間帯の散歩は避ける
- 散歩から帰宅したら花粉を落とす
- ブラッシングやシャンプーで皮膚を清潔に保つ
- 家の中の掃除を念入りに行う
散歩の工夫と帰宅後のケア
花粉の飛散量が多いとされる昼の12時頃や夕方の6時頃の散歩はなるべく避けましょう。散歩の際は、花粉が付きにくい素材の洋服を着せるのも有効です。
帰宅時には、家に入る前に犬の体についた花粉をしっかり落としてあげましょう。濡れタオルで体全体を拭くだけでも効果的です。特に花粉が付着しやすい顔周りや足先は念入りに拭いてください。また、忘れがちですが、飼い主さん自身の衣服についた花粉も、家の中に持ち込まないよう注意が必要です。犬用・人用の花粉防止スプレーを活用するのも良いでしょう。
室内の環境整備と体のケア
室内では、空気清浄機を活用して浮遊する花粉を除去しましょう。また、床に落ちた花粉は、掃除機だけでなく、水拭きで取り除くのが効果的です。家族の出入りで花粉は室内に侵入するため、定期的な掃除を心がけましょう。
こまめなブラッシングは、被毛についた花粉を取り除くのに役立ちます。また、定期的なシャンプーで皮膚を清潔に保つことも、皮膚のバリア機能を維持し、アレルギー症状の悪化を防ぐ上で重要です。シャンプーの頻度については、獣医師に相談してください。
犬がかゆがっている場合は病院へ
人間にとっても犬にとってもつらい花粉の季節。愛犬が少しでも快適に過ごせるよう、日頃から対策を心がけてあげましょう。
犬の花粉症は、人とは違う皮膚症状が中心のため、飼い主さんが気づきにくいことがあります。しかし、放置すれば症状が悪化し、治療が長引くことも少なくありません。愛犬が体を頻繁にかく、皮膚が赤いなど、気になる様子が見られたら、自己判断せずにできるだけ早く動物病院を受診してください。
vet監修獣医師先生