犬の発情期とは?時期・期間・行動の変化と対処法

犬を飼う上で、メス犬の「発情期」に関する問題は避けて通れません。

「発情期を迎えるとどんな変化があるの?」「望まない妊娠を避けるにはどうしたらいい?」など、初めて犬を飼う方は特に不安に思うことでしょう。

この記事では、犬の発情期について、具体的な時期や行動の変化、食欲不振の理由、そして飼い主ができる適切な対処法まで詳しくご紹介します。

犬の発情期とは?

犬の発情期とは、メスの犬が妊娠できる状態になる繁殖可能な期間を指します。一般的に「ヒート」とも呼ばれます。

メス犬はこの発情期にのみ交尾を受け入れ、妊娠することができます。一方で、健康なオスの成犬には特定の「発情期」というものはなく、発情中のメス犬のフェロモンを察知すると、いつでも繁殖行動が可能です。

そのため、発情中のメス犬が近くにいると、オスの犬は興奮し、普段とは違う行動をとることがあります。

vet監修獣医師先生

犬の性成熟は小型犬で早く、大型犬は遅い傾向があります。雄犬は生後7~12か月、雌犬は生後8~16か月で性成熟をします。人と比べたらかなり早いですよね。妊娠を望んでいない方は気を付けて飼育をしましょう。

犬が発情する時期はいつ?

「犬の発情期は春と秋」というイメージがあるかもしれませんが、現在の室内飼育が中心の環境では、犬は季節に関係なく発情する動物です。では、犬が発情する具体的な時期はいつ頃なのでしょうか。

初回の発情(初ヒート)は、個体差はありますが、一般的に以下の時期に迎えることが多いです。

  • 小型犬:生後7〜10か月頃
  • 中型犬・大型犬:生後8〜12か月頃

発情が始まると、外陰部の腫れや少量の出血といったサインが見られます。しかし、出血量がごくわずかだったり、犬自身が舐めとってしまったりすることで、飼い主が発情に気づきにくいケースも少なくありません。

犬の発情期、どんな行動を見せる?食欲は?

犬の発情期には、ホルモンバランスの変化により、行動や食欲に様々なサインが現れます。メスとオスでは見せる行動が異なります。

発情期のメス犬に見られる行動・食欲の変化

発情中のメス犬は、体が妊娠の準備段階に入るため、以下のような普段と違う様子を見せることがあります。

  • ソワソワして落ち着きがなくなる
  • 食欲が落ちる、またはムラが出る
  • 不安そうに飼い主の後をついて回る
  • 他の犬(特にオス)に興味を示し、近づきたがる
  • 神経質になり、ストレスを感じやすくなる

発情期のオス犬に見られる行動・食欲の変化

発情中のメスが近くにいると、オスの犬は本能的に興奮状態になります。「繁殖したい」という欲求が満たされないストレスから、以下のような行動が見られることがあります。

  • 食欲不振になる
  • イライラして攻撃的になる
  • 落ち着きがなくなり、ウロウロする
  • 遠吠えやマーキング行動が増える

このように、発情期に交尾ができない状況は、人間が想像する以上に犬にとって大きなストレスとなるのです。

犬の発情期、対処法は?

愛犬の発情期が始まったら、飼い主はどのように対処すればよいのでしょうか。特に重要なのは、望まない妊娠を避けるための対策です。

妊娠を望まない場合、最も大切な対処法は「発情期間中にオス犬に近づけない」ことです。メス犬は、発情出血が始まってから10日前後で排卵を迎え、その後8〜14日間ほどが妊娠しやすい期間となります。この期間はオス犬の交尾を受け入れやすくなるため、特に注意が必要です。

具体的な対処法は以下の通りです。

  • ドッグランの利用を控える:他の犬とのトラブルや意図しない交尾を防ぐため、利用は避けましょう。施設によっては利用を禁止している場合もあります。
  • 散歩の時間や場所を工夫する:他の犬が少ない時間帯を選んだり、いつものコースを避けたりするなどの配慮をしましょう。
  • 犬用のオムツを利用する:出血で室内を汚すのを防ぐだけでなく、外出時の望まない交尾を物理的に防ぐ効果も期待できます。

vet監修獣医師先生

発情期の対処法として避妊、去勢手術も有効です。特に雌では初回発情前の避妊手術では乳腺腫瘍の予防にもなりますので、妊娠を望まない場合は手術をおすすめします。

犬の妊娠を望むなら、発情期を把握しよう

もし愛犬の繁殖を考えているなら、犬の妊娠を成功させるために、まずメス犬の発情期(発情周期)を正確に把握することが不可欠です。

発情周期はストレスなど些細なことでもずれやすいため、日頃から愛犬の様子を注意深く観察し、発情前期のサインである出血を早期に発見することが大切です。交配の最適なタイミングがわからない場合や、交尾をさせても妊娠に至らない場合は、動物病院で獣医師に相談し、適切な検査を受けることを検討しましょう。

また、母犬の心身の健康を考慮し、繁殖させるのは2歳を過ぎてからが望ましいとされています。2歳頃になると骨格がしっかりと完成し、遺伝性疾患の有無なども判明しやすくなります。精神的にも成熟し、落ち着いて子育てができる状態になってからの妊娠が安心です。

妊娠を望まない場合、犬の発情がくる前に避妊・去勢手術を!

犬は一度の出産で4〜8頭、大型犬では10頭以上の子犬を産むこともあります。生まれるすべての子犬に責任を持つのは非常に大変なことです。また、専門知識のないまま繁殖を行うと、遺伝的な病気を持つ子犬が生まれたり、難産で母犬の命を危険に晒したりするリスクもあります。

そのため、もし繁殖を望まない場合は、初回の発情が来る前に避妊・去勢手術を行うことが強く推奨されます。

  • メス犬の場合:初回の発情前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍などの病気のリスクを大幅に低減できるというメリットもあります。
  • オス犬の場合:性的に成熟する前に去勢手術を済ませるのが理想的です。発情したメスの匂いで興奮する経験をする前に手術を行うことで、発情に起因するストレスや問題行動を予防できます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です