犬の寝言やいびきは大丈夫?【獣医師監修】考えられる原因と危険ないびきの見分け方

眠っている愛犬が急に「クンクン」と鳴いたり、尻尾をパタパタ動かしたり…。静かに寝ていると思っていたのに、突然の動きに驚いた経験はありませんか?もしかして、犬も人間と同じように夢を見て、寝言を言っているのでしょうか。

この記事では、犬の寝言の謎から睡眠の特徴、そして注意すべきいびきとの違いまで、獣医師監修のもと詳しく解説します。

犬の寝言、原因は?夢を見て寝ながら吠える

犬が寝ているときに、突然鳴いたり手足を動かしたりする主な原因は、を見ているためです。

人間と同じように、も睡眠中に日中の出来事や記憶を整理しており、その過程で楽しい夢や怖い夢を見ています。その夢の内容に反応して、寝ながら吠える、走るような仕草をするなどの寝言として現れるのです。これはごく自然な生理現象なので、心配する必要はありません。

犬の睡眠の特徴

犬の睡眠には、人間と同様に「レム睡眠(浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(深い眠り)」があり、これらを交互に繰り返しています。

犬の睡眠の特徴として、このレム睡眠の割合が多いことが挙げられます。これは、物音など周囲の異変にすぐ気づいて身を守れるように、眠りが浅い状態を長く保つ野生時代の名残です。夢を見やすいのは、脳が活発に動いているレム睡眠のとき。そのため、犬は人間よりも夢を見る機会が多く、寝言を言う頻度も高くなる傾向があります。

犬の寝言、しつけは必要?

犬の寝言があまりに激しいと、「苦しいのでは?」「しつけでやめさせるべき?」と不安になる飼い主さんもいるかもしれません。しかし、犬の寝言は生理現象の一環であり、病気やストレスが原因であることは稀です。無理に起こすと、犬を混乱させたり、攻撃的な反応を誘発したりする可能性もあるため、基本的にしつけは不要です。

特に子犬は脳が発達する過程で多くの夢を見るため、寝言が多く見られます。怖い夢を見ているように見えても、優しく見守ってあげましょう。

犬は寝言よりもいびきに注意!

愛犬の寝言は微笑ましい行動ですが、本当に注意が必要なのは「いびき」です。もちろん、疲れているときやリラックスしているときに一時的にかくこともあります。

しかし、今までいびきをかかなかったが急にかくようになったり、音が異常に大きくなったり、苦しそうな呼吸を伴ったりする場合は、何らかの病気が隠れているサインかもしれません。

犬のいびきから考えられる病気

犬のいびきは、肥満や加齢、アレルギーによる鼻づまりなどが原因の場合もありますが、以下のような病気が潜んでいる可能性も否定できません。

愛犬の健康を守るためにも、いびきから考えられる代表的な病気を知っておきましょう。

短頭種気道症候群

フレンチ・ブルドッグやパグ、シー・ズーといった鼻の短い「短頭種」に特有の呼吸器系の疾患です。生まれつき鼻の穴が狭かったり、喉の奥の軟口蓋(なんこうがい)が長かったりすることで気道が狭くなり、いびきや呼吸困難を引き起こします。重症化すると、体温調節がうまくできずに熱中症のリスクが高まるため注意が必要です。

軟口蓋過長症

上記の短頭種気道症候群の一つで、喉の奥にある軟口蓋が通常よりも長く垂れ下がり、気管の入り口を塞いでしまう病気です。興奮時や運動後に呼吸が苦しくなり、「ガーガー」という音を立てたり、失神したりすることもあります。外科手術による治療が一般的です。早期の手術ほど成功率が高い傾向にあります。

気管虚脱

空気の通り道である気管が、加齢や遺伝的要因で強度を失って潰れてしまい、呼吸がしにくくなる病気です。特に、チワワやポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどの小型犬や老犬に多く見られます。「アヒルの鳴き声のような乾いた咳」が特徴的な症状で、いびきの原因にもなります。

腫瘍

鼻の中(鼻腔)や喉に腫瘍ができることで空気の通り道が物理的に狭められ、いびきをかくことがあります。特に高齢の犬に多く、いびきに加えて、くしゃみや鼻血、膿のような鼻水を伴う場合は、早急に動物病院を受診する必要があります。

犬の寝言はそっと見守る!いびきは病院へ

犬の寝言は、夢を楽しんでいる愛らしいサインです。心配になる気持ちもわかりますが、無理に起こさずそっと見守ってあげましょう。

一方で、犬のいびきは、見過ごせない病気のサインかもしれません。特に、急に始まった、音が大きい、呼吸が苦しそうといった変化が見られたら、自己判断せずに動物病院で獣医師に相談してください。日頃から愛犬の睡眠の様子を観察し、健やかな毎日をサポートしてあげましょう。

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