柴犬の歯石、放置は危険!歯周病の原因と除去方法、費用を解説

愛犬の柴犬の歯を見て、根元が茶色く変色していて「もしかして虫歯?」と驚いた経験はありませんか。その変色の正体は、放置すると危険な「歯石」かもしれません。歯石は口臭や歯周病の原因となり、愛犬の健康を脅かす可能性があります。

この記事では、大切な愛犬である柴犬に歯石ができる原因から、動物病院での専門的な除去方法、気になる費用やリスク、そして最も重要な日々の予防ケアまで、詳しく解説します。

歯石って何?

犬の歯石とは、お口の中に残った歯垢(プラーク)が、唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分と結合して石のように硬く変化(石灰化)したものです。歯垢が細菌の塊であるのに対し、歯石は細菌の死骸の塊と言えます。

一度歯にこびりついてしまうと非常に硬いため、ご家庭での歯みがきで落とすことはできません。本来、犬の歯は真っ白です。もし黄ばんでいたり、茶色い塊が付着していたりする場合は、歯石が溜まっているサインです。

歯石ができる原因は?

犬の歯石ができる直接的な原因は、歯垢の磨き残しです。犬の口内はpH8.5~9.0程度のアルカリ性に保たれており、この環境は歯垢の石灰化を促進します。

そのため、人間の歯垢が歯石になるまでには約20日かかるのに対し、犬の場合はわずか2~3日という驚異的なスピードで歯石化してしまいます。つまり、毎日の歯みがきを少しでも怠ると、あっという間に歯垢が硬い歯石に変わってしまうのです。特に柴犬は口が小さく、奥歯まで磨きにくいため注意が必要です。

柴犬の歯石取り、自宅でもできる?

結論から言うと、ご自宅で愛犬の歯石取りを行うことは絶対に推奨しません。市販されているスケーラー(歯石を取る器具)などを使って飼い主さんが歯石を取ろうとすると、多くの危険が伴います。

  • 怪我のリスク:犬が嫌がって暴れた際に、器具で歯茎や口の中を傷つけてしまう危険があります。
  • エナメル質へのダメージ:誤った方法で削ると、歯の表面のエナメル質を傷つけ、かえって歯垢や歯石が付きやすい状態にしてしまいます。
  • 犬のトラウマ:無理やり押さえつけて処置をすると、犬は恐怖を感じてしまいます。その結果、口周りを触られること自体を嫌がるようになり、今後のデンタルケアが一切できなくなる可能性があります。

安全で確実な歯石除去は、必ず動物病院の獣医師にお願いしてください。

柴犬の歯石取り、獣医さんにお願いするといくらかかる?

動物病院で行う柴犬の歯石取りの費用は、「全身麻酔」で行うか「無麻酔」で行うかによって大きく変わります。それぞれの方法と費用の目安は以下の通りです。

麻酔あり

全身麻酔をかけて、超音波スケーラーなどの専門機器で歯石を徹底的に除去する方法です。歯の表面だけでなく、歯周ポケットの内部や歯の裏側まで綺麗にできます。歯周病が進行している場合は、抜歯などの追加処置が行われることもあります。

費用は術前の血液検査やレントゲン検査、麻酔、処置、術後の薬代などを含み、柴犬(体重10kg前後)の場合、総額で3万円~8万円程度が一般的です。歯の状態によっては、これ以上の費用がかかることもあります。

麻酔なし

無麻酔での歯石取りは、専用の器具を使って見える範囲の歯石を削り取る方法です。歯周病がほとんど進行していない軽度な場合に限られます。

費用は3,000円~1万円程度と比較的安価ですが、犬をしっかりと保定する必要があるため、おとなしい性格の犬でなければ実施は困難です。また、歯の裏側や歯周ポケット内の歯石は除去できないため、根本的な解決にはならず、あくまで表面的な処置であると理解しておく必要があります。

柴犬の歯石取り、リスクはある?

愛犬の健康のために行う歯石取りですが、処置方法によってはリスクも伴います。事前にしっかりと理解し、獣医師と相談することが大切です。

麻酔ありのリスク

最も大きなリスクは、全身麻酔そのものです。健康な犬であればリスクは低いですが、アレルギー反応や副作用が起こる可能性はゼロではありません。特に、心臓や呼吸器に疾患がある、肝臓や腎臓の機能が低下している、肥満、または体力が落ちているシニア犬(高齢犬)の柴犬は、麻酔のリスクが高まります。そのため、麻酔前には必ず精密な検査を行い、安全に実施できるかを判断します。

麻酔なしのリスク

無麻酔での処置は、犬が恐怖心から暴れてしまうリスクがあります。鋭利な器具で口内を傷つける事故につながりかねません。また、押さえつけられた経験がトラウマとなり、病院嫌いや、飼い主さんによる口のケアを嫌がるようになることもあります。表面的な歯石しか取れないため、見えない部分で歯周病が進行してしまうリスクも残ります。

柴犬の歯石、そのままにしておくとどんな影響がある?

柴犬の歯に付いた歯石を放置すると、様々な健康トラブルを引き起こします。歯石の表面はザラザラしているため、さらに歯垢が付着しやすくなり、雪だるま式に歯石が増えていく悪循環に陥ります。

歯石が溜まり続けると、以下のような深刻な影響が出る可能性があります。

  • 重度の歯周病:歯茎が炎症を起こし(歯肉炎)、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
  • 強い口臭:歯周病菌が放つガスにより、耐え難い口臭が発生します。
  • 全身の病気:口内の細菌が血管を通って全身に広がり、心臓病、腎臓病、肝臓病といった内臓疾患を引き起こすことが知られています。

たかが歯石と放置せず、早めに対処することが愛犬の健康寿命を延ばすことにつながります。

毎日のケアで歯石をゼロに!

一度ついてしまった歯石を除去するには、費用もリスクも伴います。最も大切なのは、歯石の原因である歯垢の段階でしっかりと取り除き、歯石を「予防」することです。

歯石の沈着を防ぐためには、毎日の歯みがきが最も効果的です。歯垢が歯石に変わる前に、ブラッシングで物理的に除去しましょう。柴犬が歯みがきを嫌がる場合は、まずは口周りを触る練習から始め、歯みがきシートや指サックタイプの歯ブラシから慣らしていくのがおすすめです。おやつ感覚で与えられる歯みがきガムを併用するのも良いでしょう。

愛犬の柴犬がいつまでも健康で美味しくごはんを食べられるように、今日から毎日のデンタルケアを習慣にしてみてくださいね。

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