注射麻酔薬の計算問題(問1)
問1.体重5.00kgの犬に麻酔前投与薬および麻酔導入薬として4剤を下記の用量(mg/kg)で投与したい。
各薬物濃度(mg/ml)は表に示したとおりである。以下の問に答えよ。
⑴ 各薬剤の準備量(ml)を求めよ。
薬剤 |
容量 | 濃度 |
準備量 |
アトロピン |
0.04mg/kg |
0.5mg/1ml |
ml |
ミダゾラム |
0.1mg/kg |
10mg/2ml |
ml |
ブトルファノール |
0.2mg/kg |
5mg/1ml |
ml |
プロポフォール |
8.0mg/kg |
200mg/20ml |
ml |
⑵ 麻酔導入の際、顎緊張が消失したところでそれ以上のプロポフォールの投与を中止した。
シリンジ内にプロポフォールが1.2ml残っていた際、実際の投与量は何mg/kgであったか求めよ。
mg/kg
昇圧薬の計算問題(問2)
問2.体重5.00kgの犬へ投与するためにフェニレフリン原液(濃度1mg/ml)1mlを10mlにメスアップした。以下の問に答えよ。
⑴ 2.5μg/kgでi.v.するために必要な用量(ml)を求めよ。
ml
⑵ 0.5γ(μg/kg/min)でCRIするためには何ml/hで輸液すればよいかを求めよ。
ml/h
ガンマ計算(γ計算)基礎編(問3)
問3.体重[W]kgの犬に[W]ml/hで輸液した際に5γ(μg/kg/min)となるようにドパミンを調整したい。以下の問に答えよ。
⑴ 体重[W]kgの5γは何mg/hか[W]を用いて答えよ。
mg/h
⑵ ドパミン原液の濃度は40mg/2mlである。体重[W]kgのドパミン5γは原液でml/hか[W]を用いて答えよ。
ml/h
⑶ ドパミン原液を5%ブドウ糖液で希釈し50mlのドパミン調整液([W]ml/hで輸液した際に5γ)を作成したい。必要なドパミン原液は何mlか求めよ。
ml
ガンマ計算(γ計算)応用編(問4)
問4.術後にラクトリンゲル液を5ml/kg/hで輸液する予定の犬(体重[W]kg)がいる。鎮痛目的で2%リドカイン(濃度:100mg/5ml)を25γで投与したいため、リドカイン入りラクトリンゲル液を作成することにした。リドカイン入りラクトリンゲル液を500ml用意するには何mlの2%リドカインが必要か求めよ。
ml
CRIの計算問題(問5)
問5.体重8.0kgの犬に術中鎮痛剤としてフェンタニルをCRIしたい。以下の問いに答えよ。
⑴ 8.0ml/h(体重量)で輸液した際に20μg/kg/hとなるようにフェンタニル原液を希釈したい。希釈液を50ml作成するにはフェンタニルのアンプル(1アンプルあたり0.5mg/10ml)は何アンプル必要か答えよ。
アンプル
⑵ 初期負荷投与として15μg/kgのフェンタニルをボーラス投与したい。上記で作成した50ml希釈済み溶液を用いる場合、何ml投与すれば良いか答えよ。
ml
錠剤の計算問題(問6)
問6.体重4.00kgの犬にアモキシシリン100mg錠(10〜20mg/kg,BID)、メトロニダゾール250mg錠(15〜25m g/kg,BID)、ファモチジン10mg錠(0.5〜1.0mg/kg,BID)で3日分処方したい。それぞれ1錠、1/2錠または1/4錠のうちどのサイズで処方すればよいか選べ。
アモキシシリン100mg錠 錠
メトロニダゾール250mg錠 錠
ファモチジン10mg錠 錠
抗がん剤の計算問題(問7)
問7.体重7.45kgの犬にUW-25プロトコールで化学療法を行いたい。以下の問いに答えよ。
⑴ 7.00kgの犬の体表面積は0.370m2、8.00kgの犬の体表面積は0.404m2である。7.00-8.00kgの区間は体重と体表面積が一次関数の比例関係にあると仮定して本症例の体表面積(m2)を推定せよ。
m2
⑵ 本症例の以下の薬剤の準備量(ml)を求めよ。
薬剤 |
容量 | 溶媒(溶質) |
準備量 |
L-アスパラキナーゼ |
400IU/kg |
5000KU/バイアル(注水5ml) |
ml |
シクロホスファミド |
250mg/m2 |
100mg/バイアル(生食5ml) |
ml |
ドキソルビシン |
30mg/m2 |
10mg/バイアル(生食5ml) |
ml |
ビンクリスチン |
0.7mg/mg2 |
1mg/バイアル(生食10ml) |
ml |
⑶ 本症例にプレドニゾロン5mg/錠(2.0mg/kg,SID)を処方したい。1回何錠必要か求めよ。ただし、処方可能なサイズは1錠、1/2錠または1/4錠のみとする。
錠
解答
問1
⑴ アトロピン:0.04mg/kg÷0.5mg/1ml×5.00kg=0.4ml
ミダゾラム:0.1mg/kg÷10mg/2ml×5.00kg=0.1ml
ブトルファノール:0.2mg/kg÷5mg/1ml×5.00kg=0.2ml
プロポフォール:8.0mg/kg÷200mg/20ml×5.00kg=4ml
⑵ 8.0mg/kg-(1.2ml × 200mg/20ml ÷ 5.00kg)=5.6mg/kg
問2
1mg/ml÷10=0.1 mg/ml=100μg/ml
⑴ 2.5μg/kg÷100μg/ml×5.00kg=0.125ml
⑵ 0.5μg/kg/min÷100μg/ml×5.00kg×60=1.5ml/h
問3
⑴ 5μg/kg/min=5×10-3×[W]×60(mg/h)=0.3[W]mg/h
⑵ 0.3[W]mg/h÷40mg/2ml=0.015[W]ml/h
⑶ (ドパミン原液)ml÷50ml=0.015[W]ml/h÷[W]ml/h
→ (ドパミン原液)ml= 0.015[W]ml/h÷[W]ml/h×50ml=0.75ml
問4
25μg/kg/min=25×10-3×[W]×60(mg/h)=1.5[W]mg/h
1.5[W]mg/h÷100mg/5ml=0.075[W]ml/h
(2%リドカイン)ml÷500ml=0.075[W]ml/h÷5[W]ml/h
→ (2%リドカイン)ml=0.075[W]ml/h÷5[W]ml/h×500ml=7.5ml
問5
⑴ 20μg/kg/h×8.0kg÷8.0ml/h=20μg/ml
20μg/ml×50ml=1000μg
1000μg÷500μg(0.5mg)/アンプル=2アンプル
⑵ 15μg/kg÷20μg/ml×8.0kg=6ml
問6
アモキシシリン:(10〜20)mg/kg×4.00kg=(40〜80)mg
1/2錠=50mg、1/4錠=25mg よって1/2錠
メトロニダゾール:(15〜25)mg/kg×4.00kg=(60〜100)mg
1/2錠=125mg、1/4錠=62.5mg よって1/4錠
ファモチジン:(0.5〜1.0)mg/kg×4.00kg=(2.0〜4.0)mg
1/2錠=5.0mg、1/4錠=2.5mg よって1/4錠
問7
⑴ (0.404m2-0.370m2)×(7.45kg-7.00kg)/ (8.00 kg-7.00kg)+ 0.370m2=0.3853m2
⑵ L-アスパラキナーゼ:400IU/kg÷5000KU/5ml×7.45kg=2.98ml
シクロホスファミド:250mg/m2÷100mg/5ml×0.3853m2=4.81625ml
ドキソルビシン:30mg/m2÷10mg/5ml×0.3853m2=5.7795ml
ビンクリスチン:0.7mg/mg2÷1mg/10ml×0.3853m2=2.6971ml
⑶ 2.0mg/kg×7.45kg÷5mg=2.98≒3錠
ガンマ計算(γ計算)の裏技
『50ml中に3mgの薬剤が溶けている時、[体重kgの値]ml/hでCRIすると1γである。』と暗記しておくと様々な薬剤で瞬時に計算ができる。
問2⑵は「10ml中に1mgの薬剤が溶けている時、???ml/hでCRIすると0.5γである。」と言う問題なので
暗記している値よりも輸液総量は1/5倍、薬剤は1/3倍、γは1/2倍である。
よって、5.0(体重kgの値)×(1/5)÷(1/3)×(1/2)=1.5ml/h
問3⑶は「50ml中に???mgの薬剤が溶けている時、[体重kgの値]ml/hでCRIすると5γである。」と言う問題なので
暗記している値よりもγは5倍である。
よって、3mg×5=15mg。ドパミン原液の濃度は40mg/2mlなので答えは15mg÷(40mg/2ml)=0.75ml
問4は「500ml中に???mgの薬剤が溶けている時、[体重kgの値]×5ml/hでCRIすると25γである。」と言う問題なので
暗記している値よりも輸液総量は10倍、流量は5倍、γは25倍である。
よって、3mg×10÷5×25=150mg。2%リドカインの濃度は100mg/5mlなので答えは150mg÷(100mg/5ml)=7.5ml