ドッグフードの品質向上や獣医療の進歩、室内飼育の普及などにより、犬の平均寿命は年々延びる傾向にあります。大切な家族の一員である愛犬には、一日でも長く健康でいてほしいと願うのは、すべての飼い主共通の想いでしょう。
この記事では、犬の平均寿命に関する最新データや、大型犬が短命といわれる理由、そして愛犬の年齢を人間の年齢に換算した場合の目安について、詳しく解説します。
犬の平均寿命はどれくらい?
一般社団法人ペットフード協会が毎年実施している「全国犬猫飼育実態調査」によると、令和5年における犬全体の平均寿命は14.62歳でした。これは、獣医療の進歩や飼育環境の改善が大きく貢献していると考えられます。
ただし、この平均寿命は犬の体の大きさによって異なります。サイズ別の平均寿命の目安を見てみましょう。
種類 | 平均寿命 | 犬種例 |
---|---|---|
超小型犬(5kg未満) | およそ15歳 | チワワ、ポメラニアン、ヨークシャテリアなど |
小型犬(5~10kg) | およそ14歳 | トイプードル、ミニチュアダックスフンド、柴犬など |
中・大型犬(10~40kg以上) | およそ13歳 | ウェルシュ・コーギー、ビーグル、ラブラドールレトリーバーなど |
一般的に、体が小さい犬の方が長生きする傾向にあることがわかります。
また、飼育環境も寿命に影響を与える重要な要素です。屋外で飼育されている犬に比べ、室内で飼育されている犬の方が長生きする傾向があります。これは、気温の変化などによる身体への負担が少ないこと、病気やケガの早期発見がしやすいこと、ノミ・ダニやフィラリアといった寄生虫の感染リスクを管理しやすいことなどが理由として挙げられます。
大型犬は短命?理由は?
「体が大きい動物の方が長生き」というイメージがあるかもしれませんが、犬の場合は逆で、大型犬は小型犬に比べて短命な傾向にあります。代表的な大型犬の平均寿命を見てみると、その傾向は明らかです。
犬種 | 平均寿命 |
---|---|
ラブラドールレトリーバー | 12~13歳 |
ジャーマンシェパード | 10~12歳 |
ロットワイラー | 8~10歳 |
グレートデン | 6~8歳 |
犬全体の平均寿命が14.62歳であることを考えると、特にグレートデンの寿命は非常に短いことがわかります。なぜ大型犬は短命な傾向にあるのでしょうか。その主な理由として、以下の3つが考えられています。
体の急激な成長と臓器への負担
大型犬は、わずか1~2年という短期間で急激に成長し、大きな体を維持しなければなりません。しかし、体のサイズに対して心臓や肺などの臓器の比率が小さいため、常に体に大きな負担がかかっている状態になります。この絶え間ない負担が細胞の老化を早め、寿命に影響しているという説や、がん細胞の発生率に関与しているという説があります。
遺伝的にかかりやすい骨や関節の病気
急激な成長は、骨や関節にも大きな負担をかけます。そのため、大型犬は「股関節形成不全」など、遺伝的な骨・関節の病気を発症しやすい傾向にあります。
足腰が悪くなると活動量が減り、筋力や体力が一気に低下してしまいます。また、骨肉腫といった命に関わる骨の病気のリスクが高いことも、大型犬の寿命が短くなる一因とされています。
命の危険がある「胃捻転」の発症率の高さ
胃捻転は、何らかの原因で胃がねじれてしまう、非常に致死率の高い病気です。特に胸が深い体型の大型犬は胃捻転を起こしやすく、発症すると数時間で命を落とす危険があります。
食後すぐの激しい運動などが引き金となることが多く、早期に発見し手術をしても助からないケースも少なくありません。発見が遅れると死亡率は50%以上に達するともいわれています。
このように、大型犬は遺伝的な要因に加え、日々の食事や運動の管理が直接命に関わる可能性があるため、飼育にはより深い知識と注意が求められます。こうした複合的な要因が、結果として大型犬の寿命を短くしていると考えられています。
vet監修獣医師先生
犬の年齢を人間に換算すると?
愛犬が人間でいうと何歳くらいなのか、気になりますよね。犬は人間よりもずっと早く成長し、歳を取っていきます。犬の年齢を人間の年齢に換算した一般的な目安は、以下の通りです。
犬の年齢 | 人間の年齢(目安) |
---|---|
生後3か月 | 5歳 |
生後6か月 | 9歳 |
生後1年 | 17歳 |
生後2年 | 23歳 |
生後5年 | 36歳 |
生後10年 | 56歳 |
生後12年 | 64歳 |
生後15年 | 76歳 |
生後20年 | 96歳 |
※犬の成長スピードは犬種や個体差によって異なるため、あくまで目安としてご覧ください。
この表を見ると、犬は最初の1~2年で一気に成犬になり、その後は比較的ゆるやかに歳を重ねていくことがわかります。一般的に7歳頃からが「シニア期」とされ、老化のサインが見え始めます。20歳を超えると人間では100歳近いご長寿です。
愛犬との大切な時間を一日でも長く過ごすためには、日々の健康管理が欠かせません。年齢に合った食事や適度な運動、ストレスのない生活環境を整えるとともに、定期的な健康診断で病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。愛犬の健康寿命を延ばし、幸せなドッグライフを送れるようサポートしてあげたいですね。