【獣医師監修】犬の歯は何本?歯の構造と生え変わりの時期、歯磨きの重要性

大切な愛犬の歯について、あなたはどれくらい知っていますか?人間の歯と同じように、犬の歯にも生え変わる前の「乳歯」と、生え変わった後の「永久歯」があります。永久歯は一度抜けてしまうと二度と生えてきません。

この記事では、犬の歯の健康を守るために知っておきたい歯の種類や構造、乳歯から永久歯へ生え変わる時期について、わかりやすく解説します。

犬の歯の種類は?構造をわかりやすく解説

犬の歯の構造は、食べ物を効率よく食べるために進化しており、主に以下の4つの種類に分けられます。口の手前から「切歯」「犬歯」「前臼歯」「後臼歯」の順に並んでいます。

また、犬の歯の本数は子犬の時期の乳歯と成犬の永久歯で異なります。以下の表で、犬の歯の種類ごとの本数の違いを見てみましょう。

歯の種類 乳歯 永久歯
切歯 12本 12本
犬歯 4本 4本
前臼歯 12本 16本
後臼歯 0本 10本
合計 28本 42本

表からもわかるように、子犬の乳歯には奥歯である「後臼歯」がありません。永久歯に生え変わる際に、後臼歯が新たに生え、前臼歯も4本増えるため、合計本数が大きく変わります。

乳歯は上下で同じ本数ですが、永久歯は上下で本数が少し異なります。それぞれの歯の役割と本数を詳しく見ていきましょう。

切歯(門歯)

切歯(せっし)は、犬の口の最も前にある小さな歯です。食べ物を小さく噛み切ったり、骨から肉をそぎ取ったり、毛づくろいをしたりする役割があります。乳歯・永久歯ともに上下6本ずつ、合計12本です。

切歯は「門歯」とも呼ばれます。

犬歯

犬歯(けんし)は、4種類の中で最も長く鋭い歯です。獲物を捕らえて離さない役割や、物をしっかりと咥えるために使われます。犬の歯の象徴ともいえるでしょう。乳歯・永久歯ともに上下2本ずつ、合計4本生えています。

前臼歯

前臼歯(ぜんきゅうし)は、犬歯の後ろに並ぶギザギザとした形の歯です。ハサミのように食べ物を引き裂く(剪断する)役割を持っています。乳歯は上下6本ずつですが、永久歯は上下8本ずつの合計16本に増えます。

後臼歯

後臼歯(こうきゅうし)は、一番奥にある臼(うす)のような形をした歯です。食べ物をすりつぶして細かくする役割があります。この後臼歯は乳歯にはなく、永久歯としてのみ生えてきます。永久歯の本数は「上4本」「下6本」の合計10本です。

犬の歯はいつ生え変わるの?

生え変わりの時期

生後3~7ヶ月頃

犬の歯が生え変わる時期は、個体差や犬種差もありますが、一般的に生後3ヶ月頃から始まり、生後7ヶ月頃には完了します。

歯の種類によって生え変わる時期は少しずつ異なり、おおむね以下の順番で生え変わります。

  • 切歯:生後3~5ヶ月頃
  • 前臼歯:生後4~6ヶ月頃
  • 犬歯:生後5~7ヶ月頃

また、一般的に下の歯から先に抜け、その後対応する上の歯が抜けるという順番で生え変わります。

永久歯である後臼歯は、他の歯が生え変わるのと同じ時期(生後5~7ヶ月頃)に、乳歯がない場所から新たに生えてきます。

犬の歯は何回生え変わるの?

サメのように何度も歯が生え変わる動物もいますが、犬の歯が生え変わるのは、一生に一度だけです。これは人間と同じで、乳歯から永久歯への交換が完了すると、その後はもう新しい歯が生えてくることはありません。

そのため、事故で折れたり歯周病で抜けたりした永久歯は、二度と元には戻らないことを覚えておきましょう。だからこそ、日々のデンタルケアが非常に重要になるのです。

犬の歯が生え変わる時期、飼い主さんが注意することは?

犬の歯が生え変わる時期は、子犬が成長する上で自然な過程ですが、飼い主さんが知っておくべき注意点がいくつかあります。

まず、歯の生え変わり時期は歯茎がむず痒くなるため、子犬は家具やスリッパなど、いろいろな物を噛んでしまうことがあります。誤飲の心配がない安全な犬用ガムや、知育おもちゃなどを与えて、噛みたい欲求を満たしてあげましょう。おもちゃで遊ぶ際は、飼い主さんがそばで見守ってあげるとより安全です。

また、この時期から口周りを触られることに慣れさせておくと、永久歯が生えそろった後の本格的な歯磨きがスムーズになります。永久歯は一生使う大切な歯です。歯垢が石灰化して歯石になると、歯周病を引き起こす原因となります。こちらの記事も参考に、正しい歯磨きの習慣をつけ、愛犬の歯の健康を守りましょう。

vet監修獣医師先生

歯石ができると歯周病の原因になります。さらに歯周病は各臓器にも悪影響を及ぼす可能性があるので、日々のデンタルケアをしっかり行いましょう。

「犬の歯医者さん」は存在する?

人間の「歯医者さん」のように、犬の歯を専門に診る「犬の歯科」は存在するのでしょうか?

結論から言うと、犬の歯科治療を専門とする獣医師や、歯科に特化した動物病院は存在しますが、その数はまだ多くありません。そのため、愛犬の歯に異常を感じた場合は、まずかかりつけの動物病院に相談するのが一般的です。獣医師が必要と判断すれば、歯科治療の設備が整った病院や、専門医を紹介してくれることもあります。

愛犬の歯が生え変わるときに病院にはいったほうがいいの?

基本的に、犬の歯の生え変わりは自然な生理現象なので、健康な子犬であれば動物病院へ行く必要はありません。

ただし、以下のような異常が見られる場合は、病気の可能性もあるため動物病院を受診しましょう。

  • 乳歯遺残(にゅうしいざん):生後7ヶ月を過ぎても乳歯が抜けずに残っている状態。永久歯の歯並びに悪影響を与えることがあります。
  • 埋伏歯(まいふくし):永久歯が歯茎の中に埋まったまま出てこない状態。
  • その他:歯茎のひどい腫れや出血が続く、痛がって食事ができないなど。

気になることがあれば、自己判断せずに獣医師に相談することをおすすめします。

健康でイキイキとした歯を目指して

人間の「8020運動(80歳で20本の歯を残そう)」のように、犬にとっても歯は健康な生活を送る上で欠かせないものです。

食事をおいしく食べ、おもちゃで楽しく遊ぶために、歯は非常に重要な役割を担っています。愛犬が一生自分の歯で快適に過ごせるかどうかは、飼い主さんの日々のケアにかかっています。

永久歯として生えそろった42本を、1本でも多く健康な状態で維持できるよう、毎日のデンタルケアを習慣にし、愛犬の健康でイキイキとした毎日をサポートしてあげましょう。

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