猫の去勢手術で性格は変わる?術後の変化と生活での注意点

「愛猫の去勢手術、そろそろ考えないと…」

「愛猫の去勢手術、いつすればいい?費用はどれくらい?」

「手術後に性格が変わったり、太ったりしないか心配…」

オス猫の飼い主さんなら、誰もが一度は考える去勢手術。望まない繁殖を防ぐだけでなく、猫自身のストレス軽減や病気の予防にもつながる大切な選択肢です。しかし、大切な家族に麻酔をかけて手術を受けさせることへの不安も大きく様々な疑問や不安が出てきますよね。

この記事では、愛玩動物看護師の監修のもと、去勢手術を検討している飼い主さんのあらゆる疑問にお答えします。手術の流れや費用、適切な時期、メリット・デメリット、そして術後のケアまで、分かりやすく解説します。

愛猫とご家族にとって最善の選択をするための参考にしてください。

猫の去勢手術とは?メリットは?

去勢手術について

オス猫の精巣を摘出する外科手術のこと

オス猫の去勢手術とは、精巣(睾丸)を摘出する外科手術のことです。メス猫の避妊手術と合わせて不妊手術と呼ばれ、望まない妊娠を防ぐために行われるのが一般的です。

手術を受けることで、発情期のストレスや特定のリスクを減らし、愛猫がより穏やかに、そして健康に長生きできる可能性が高まります。推奨される時期はありますが、まずは去勢手術がもたらすメリットを理解することが大切です。

去勢手術のメリット

望まない繁殖の防止
発情ストレスの軽減
特定の病気の予防
長生きにつながる

オス猫が去勢手術を行う主なメリットは、以下の4つです。特に、発情に伴うストレスの軽減や、精巣腫瘍・前立腺疾患といったオス特有の病気の予防につながる点は、飼い主さんにとっても大きな安心材料となるでしょう。

猫の去勢しないとどうなる?

去勢手術をしない場合、望まない繁殖のリスクはもちろん、オス猫特有の行動に悩まされる可能性があります。発情期を迎えたオス猫は、縄張りを主張するために強烈な臭いの尿をあちこちにかける「スプレー行動」や、メスを求めて大きな声で鳴き続ける、あるいは脱走しようとするといった行動が見られます。

これらの行動は猫自身にとっても大きなストレスとなり、他の猫との喧嘩による怪我や感染症のリスクも高まります。不幸な子猫を増やさないという社会的な責任に加え、愛猫自身の心身の健康と、飼い主との穏やかな生活を守るためにも、去勢手術は重要な選択肢となります。

猫の去勢手術、費用は?

猫の去勢手術は病気の治療ではないため、ペット保険が適用されず、費用は全額自己負担となります。

動物病院によって異なりますが、オス猫の去勢手術費用の相場は約10,000円~20,000円です。この費用には、診察料、麻酔料、手術料などが含まれていることが一般的です。持病がある場合や高齢の猫では、安全に手術を行うために術前検査(血液検査など)が必要となり、別途5,000円~10,000円程度の追加費用がかかることもあります。

助成金

お住まいの自治体によっては、飼い猫の去勢手術費用の一部を補助する助成金制度を設けている場合があります。助成金額や申請条件(飼い主の居住地、猫の登録状況など)は自治体ごとに大きく異なるため、まずは市区町村の役所のウェブサイトや、動物愛護センターの案内を確認してみましょう。

猫の去勢手術の時期はいつがいい?

去勢に適した時期

生後6ヶ月前後が一般的

猫の去勢手術の時期として、多くの獣医師や専門機関が推奨しているのは、最初の発情期を迎える前です。具体的には、個体差はありますが生後6ヶ月前後が一般的な目安とされています。

この時期に手術を行うことで、スプレー行動などの問題行動が習慣化するのを防ぎやすいというメリットがあります。最近では、より早期の生後5ヶ月齢での手術を推奨する考え方もあります。

ただし、猫の成長速度や健康状態によって最適なタイミングは異なります。愛猫にとってベストな時期を判断するために、必ずかかりつけの獣医師とよく相談して手術の計画を立てましょう。

猫の去勢手術の手順や期間は?

去勢手術の流れと所要時間

STEP.1
絶食・絶水
全身麻酔をかけると、胃の中のものが逆流して気管を塞いでしまう「誤嚥(ごえん)」のリスクがあります。これを防ぐため、手術前の約12時間は絶食、約2〜3時間前からは絶水が必要です。具体的な時間は、必ずかかりつけの獣医師の指示に従ってください。

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STEP.2
手術
10分〜20分程度で完了します。
STEP.3
>入院
病院の方針によりますが、日帰り〜1泊2日が一般的です。術後の経過が良好であれば、翌日には退院できるケースが多いです。
STEP.4
手術後の通院
術後1週間〜10日後くらいに、傷口のチェックや抜糸のために通院が必要な場合があります。(病院によっては吸収される糸を使い、抜糸が不要なこともあります)

去勢手術後の注意点

手術を安全に終え、術後を快適に過ごすために、飼い主さんが気をつけるべきポイントをまとめました。

去勢手術後の注意点:安静と食事、傷のケア

  • 食事: 麻酔から覚めた直後は、消化機能が万全でないため、すぐに食事を与えると吐いてしまうことがあります。獣医師の指示があるまで(術後、半日〜1日程度)は食事を控えましょう。
  • 運動: 激しい運動をすると傷口が開いてしまう恐れがあります。抜糸が終わるまでは、キャットタワーの昇り降りや過度な遊びは避け、安静に過ごさせましょう。
  • 傷口を舐めさせない: 猫が傷口を舐めすぎると、化膿したり治りが遅れたりします。

vet所属獣医師先生

術後数日は、傷口を舐めないようにエリザベスカラーを装着しましょう。嫌がる子も多いですが、術部を守るための重要なケアです。エリザベスカラーを付けると食事がしにくくなるので、お皿に高さを付けてあげるなどの工夫をしてみてくださいね。

去勢手術後のトラブル:トイレの失敗

手術のストレスや、入院によって環境が変わったことで、一時的にトイレ以外の場所で粗相をしてしまうことがあります。

猫は一度排泄した場所をトイレと認識しやすいので、失敗した場所は臭いが完全になくなるまで徹底的に掃除・消臭しましょう。 時間はかかりますが、根気よくトイレの場所を教え直してあげてください。

去勢手術で猫はどう変わる?術後の変化

手術によって、猫の行動や体質にはいくつかの変化が見られます。

性格の変化:攻撃性が和らぎ、甘えん坊になる?

男性ホルモンの分泌が減少するため、縄張り意識や攻撃性が和らぎ、性格が穏やかになる傾向があります。特に若いうちに手術をすると、子猫のような甘えん坊な性格が残りやすいと言われています。もちろん個体差はありますが、以前より飼い主さんに寄り添う時間が増えるかもしれません。

発情行動の変化:マーキングや鳴き声はなくなる?

性的なストレスから解放されるため、発情期に見られる特有の大きな鳴き声や、スプレーと呼ばれるマーキング行動はほとんど見られなくなります。すでに発情を経験した後に手術した場合でも、行動の頻度は大きく減少します。

【要注意】肥満になりやすい理由と対策

去勢後は、ホルモンバランスの変化により基礎代謝が約30%低下すると言われています。つまり、以前と同じ量の食事でも太りやすくなってしまうのです。

肥満は糖尿病や関節疾患など、さまざまな病気のリスクを高めます。

  • 対策① 食事の見直し: 去勢後の猫の体質に合わせた、低カロリー・高タンパクな**「去勢後用フード」**に切り替えましょう。自己判断で量を減らすだけでは栄養不足になる恐れがあります。
  • 対策② 運動の促進: おもちゃで遊ぶ時間を増やすなど、意識的に運動の機会を作り、消費カロリーを増やしてあげましょう。

愛猫と家族が幸せになる選択を

去勢手術は、病気の予防や問題行動の抑制といった大きなメリットがある一方で、全身麻酔のリスクや、術後のケアが必要になるという側面もあります。

何より大切なのは、愛猫の性質やご家族のライフスタイルを考え、長い目で見て愛猫と飼い主さん双方が幸せに暮らせる選択をすることです。手術について少しでも疑問や不安があれば、遠慮なくかかりつけの獣医師に相談し、納得のいく決断をしてくださいね。

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