猫のグルーミング(毛づくろい)の意味とは?やりすぎは病気のサイン?

猫は暇さえあれば毛づくろいをしている、愛らしい姿が印象的ですよね。ときにはアクロバティックな体勢で一生懸命に体を舐めていることも。この行動は「グルーミング」とも呼ばれ、猫にとって欠かせない習性です。では、猫はなぜこれほど頻繁に毛づくろいをするのでしょうか。

この記事では、猫の毛づくろい(グルーミング)に隠された様々な意味やその方法、そして注意すべき「過剰な毛づくろい」のサインと対処法について、詳しく解説します。

猫の毛づくろい(グルーミング)の意味は?

猫が熱心に毛づくろい(グルーミング)をするのには、単に体をきれいにしているだけではない、多くの大切な意味が隠されています。猫にとって毛づくろいは、心と体の健康を保つための重要な役割を担っているのです。

  • 体を清潔に保つ:猫の舌はザラザラしており、ブラシのように機能します。これにより、抜け毛やフケ、体についたゴミや汚れを効率的に取り除き、皮膚病から身を守っています。
  • 体温調節:毛についた唾液が蒸発する際の気化熱を利用して、体温を下げています。特に暑い日には、このグルーミングが体温調節に役立ちます。
  • リラックス効果:毛づくろいは、猫の気持ちを落ち着かせる効果があります。ジャンプに失敗したときなど、不安や緊張を感じたときに自分をなだめるために行うこともあります。
  • 血行促進:舌で体を舐める刺激が、皮膚の血行を良くするマッサージのような効果ももたらします。

このように、猫の毛づくろいは、体を清潔にするだけでなく、体温や精神状態を整えるための多機能な行動なのです。

猫の毛づくろい(グルーミング)の方法は?

猫の毛づくろい(グルーミング)には、おおよそ決まった手順があります。器用に体を使って、全身をくまなくきれいにしていきます。

基本的な毛づくろいの順番は、まず前足を舐めて湿らせ、その足で顔や耳の後ろを丁寧に拭きます。次に体をひねりながら背中や脇腹、お腹を舐め、最後に後ろ足を上げてお尻周りやしっぽの先まで入念にきれいにします。

しかし、どうしても自分では届きにくい場所(頭や首の後ろなど)があります。多頭飼いの場合は、猫同士で舐め合う「アログルーミング」をすることで、お互いに毛づくろいを補い合います。これは猫にとって大切なコミュニケーションの一つです。一匹で暮らしている猫の場合は、飼い主がブラッシングなどで首の後ろなどを優しく撫でてあげると、とても喜びますよ。

猫は毛づくろいをいつする?なぜ好きなの?

猫が特に毛づくろいをするタイミングには、猫本来の習性が関係しています。どのような時にグルーミングを始めるのかを知ることで、猫の気持ちをより深く理解できます。

  • 食後:野生時代の猫は、獲物の血などで汚れた体をきれいにして匂いを消し、外敵から身を守っていました。その名残で、ペットとして暮らす現代の猫も食後に毛づくろいをする本能が残っています。
  • トイレの後:排泄後、体を舐めてきれいにすることで、匂いを消して清潔を保ちます。
  • 寝る前:リラックスして安心して眠るために、寝床に入る前に体を整えます。
  • 人に撫でられた後:飼い主に撫でられた後に体を舐めるのは、決して人の匂いが嫌いなわけではありません。自分の体に付いた他の匂いを消し、改めて自分の匂いを付けることで安心感を得るための行動です。

これらの毛づくろいは、猫が心身ともに落ち着いた状態を保つための本能的な行動なのです。

猫が毛づくろいを過剰にする場合の対応は?

通常の毛づくろいは健康的な行動ですが、同じ場所を執拗に舐め続けたり、毛が抜けるほどグルーミングをしたりする場合は注意が必要です。これは「過剰グルーミング(オーバーグルーミング)」と呼ばれ、何らかの不調のサインかもしれません。

過剰な毛づくろいを放置すると、脱毛や皮膚が赤くなる「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」を引き起こすことがあります。その主な原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • ストレス:引っ越しや新しいペットの同居、騒音など、環境の変化による精神的なストレス。
  • 皮膚の病気:ノミ・ダニのアレルギー、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などによるかゆみ。
  • 体の痛み:ケガや関節炎など、特定の場所に痛みや違和感がある。

もし愛猫の毛づくろいが過剰だと感じたら、まずはストレスの原因がないか生活環境を見直しましょう。そして、自己判断せずに速やかに動物病院を受診し、獣医師に相談することが最も重要です。原因に応じた治療や、エリザベスカラーの装着などの対策が必要になる場合があります。

猫の毛づくろいはよく観察をしてあげて

猫は起きている時間の多くを毛づくろいに費やすと言われています。この日常的なグルーミングは、猫の健康状態を知るための大切なバロメーターです。

リラックスして毛づくろいする姿はとても癒やされますが、その様子をよく観察してあげてください。「いつもより時間が長い」「同じ場所ばかり舐めている」「毛が薄くなっている」といった変化は、病気やストレスのサインかもしれません。日頃から愛猫の様子に気を配り、小さな変化に気づいてあげることが、病気の早期発見につながります。

また、飼い主が定期的にブラッシングをしてあげることは、抜け毛を取り除いて毛玉(ヘアボール)の形成を防ぐだけでなく、猫との大切なスキンシップの時間にもなります。日々の観察とケアを通じて、愛猫の心と体の健康を守ってあげましょう。

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