【獣医師監修】肥満猫のダイエット、成功の秘訣は?食事法と運動(遊び方)を解説

人間と同じように、猫も肥満になることがあります。猫の肥満は、糖尿病や関節炎など、あらゆる病気のリスクを高めるため、愛猫が太り始めたと感じたら、適切なダイエットを始めることが健康のために不可欠です。

この記事では、大切な愛猫のために、食事管理と運動の両面からアプローチする具体的なダイエット方法を詳しく解説します。

猫はどうして肥満になるの?

猫が肥満になる最も基本的な原因は、「摂取カロリーが消費カロリーを上回る」ことです。消費しきれなかったエネルギーは脂肪として体内に蓄積され、肥満につながります。このカロリー消費には、運動量だけでなく「基礎代謝」が大きく関わっています。

基礎代謝とは?

基礎代謝とは、猫がリラックスして安静にしている状態でも、心臓や呼吸、体温維持などの生命活動のために消費される最低限のエネルギーのことです。

基礎代謝が高い猫ほど、日常生活でのエネルギー消費量が多くなるため太りにくい体質といえます。基礎代謝を維持・向上させるには、筋肉量を保つことが重要です。

基礎代謝が低下する主な原因

猫の基礎代謝は、主に以下のような要因で低下し、肥満につながりやすくなります。

  • 加齢:人間と同様に、猫も年齢を重ねると基礎代謝が自然と低下します。特に7歳以上のシニア猫は、若い頃と同じ食事内容でも太りやすくなるため注意が必要です。シニア向けの低カロリーで食物繊維が豊富なキャットフードへの切り替えも検討しましょう。
  • 避妊・去勢手術:手術によるホルモンバランスの変化は、基礎代謝の低下と食欲の増進を同時に引き起こすことがあります。そのため、避妊・去勢手術後は肥満になるリスクが高まることを理解しておくことが大切です。

避妊・去勢手術後の肥満対策

あまり知られていませんが、避妊・去勢手術をすると猫は太りやすくなります。

メスは卵巣を、オスは精巣を取り除くことでホルモンバランスが変化し、基礎代謝が落ちる一方で食欲が増進するため、肥満のリスクが高まるのです。

手術を行った後は、特に体重管理が重要になります。「避妊・去勢後用」として販売されているカロリーコントロールされたキャットフードを選んだり、おもちゃで遊ぶ時間を増やして消費カロリーを促したりと、飼い主が意識的にサポートしてあげましょう。

猫のダイエットは運動量を増やし、食事を減らす

猫のダイエットの基本原則は非常にシンプルです。それは「消費カロリーを増やし、摂取カロリーを減らす」ことです。摂取したエネルギーと同等かそれ以上のカロリーを消費すれば、体重は増えません。

しかし、完全室内飼いの猫の多くは、活動範囲が限られるため慢性的な運動不足に陥りがちです。運動不足によって余ったエネルギーは、脂肪として着実に体内に蓄積されてしまいます。

体が重くなると、猫はますます動くのが億劫になり、さらに太ってしまうという肥満の悪循環に陥りかねません。また、猫が欲しがるままにおやつを与える習慣も肥満の大きな原因です。かわいい愛猫についおやつをあげたくなる気持ちは分かりますが、そのおやつが病気の引き金になってしまう可能性もあるのです。

猫のダイエット、運動量確保のためにおもちゃを活用

愛猫が肥満気味で、特に健康上の問題がない場合は、まず日常生活での運動量を増やすことから始めましょう。運動はカロリーを消費するだけでなく、筋肉量を維持して基礎代謝を上げる効果も期待できます。

猫の狩猟本能を刺激するような遊びを取り入れると、喜んで運動してくれます。飼い主が積極的にダイエットに協力し、楽しい時間を作ってあげましょう。

  • おもちゃで遊ぶ:猫じゃらしやボール、レーザーポインターなど、愛猫のお気に入りのおもちゃを使って、1日に10分〜15分程度の遊び時間を2、3回設けるのがおすすめです。
  • キャットタワーを活用する:キャットタワーは上下運動を促すのに最適なアイテムです。大好きなおもちゃをタワーの上でちらつかせて登らせ、今度は下で誘って降りさせる、といった動きを繰り返すことで、効率的に運動量を確保できます。キャットタワーは通販でも購入できますが、段ボールなどで自作するのも良いでしょう。

猫のダイエット、食事量を減らし低カロリータイプに変更

猫のダイエットでは、運動による消費カロリーアップと並行して、食事による摂取カロリーのコントロールが不可欠です。以下のポイントを見直してみましょう。

  • おやつの習慣を見直す:まずはおやつの習慣をやめるか、頻度や量を大幅に減らしましょう。おやつを与える場合は、その分のカロリーを主食から差し引く必要があります。
  • 食事量を正確に計る:フードのパッケージに記載されている給与量を目安に、現在の体重ではなく「目標体重」に必要な量を計量カップやスケールで正確に与えましょう。時間を決めて、決まった量を与えることが大切です。
  • ダイエットフードに切り替える:現在のフードの量を減らすのが難しい場合は、「低カロリー」「ライト」「体重管理用」などと記載されたダイエット用のドライフードに切り替えるのも効果的です。
注意

早く痩せさせたいからといって、急に食事の量を極端に減らすといった無理な食事制限は絶対にやめてください。猫は絶食状態が続くと「肝リピドーシス」という命に関わる病気を発症する危険があります。ダイエットは獣医師に相談しながら、時間をかけてゆっくりと進めましょう。

猫のダイエット、寿命を延ばすためにも

猫は肥満の状態が続くと、関節や心臓に常に大きな負担がかかり、糖尿病や心臓病、関節炎などのリスクが高まります。その結果、健康な猫に比べて寿命が短くなる傾向があるといわれています。

愛猫が美味しそうにごはんを食べる姿や、のんびりと寛いでいる姿を見るのは、飼い主にとって何よりの幸せです。そのかけがえのない時間を一日でも長く続けるためにも、猫のダイエットは最高の愛情表現といえるでしょう。愛猫の健康と長寿のために、今日から適切な体重管理を始めてあげてくださいね。

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