愛猫がブルブルと小刻みに震えている姿を見ると、「寒いだけ?それとも病気?」と心配になりますよね。犬とは違い、猫が震えることは稀なため、飼い主さんとしては見過ごせないサインです。
猫の震えの中には、深刻な病気が隠れている可能性もあります。異変に気づいたら、できるだけ早く動物病院で診察を受けることが重要です。
この記事では、猫の震えについて、考えられる症状や原因、動物病院での診断・治療法、そして飼い主さんができる対策や注意点を詳しく解説します。
猫が震える、症状は?
- シバリング(生理現象)
- 病気
猫が震える原因として、まず考えられるのが「シバリング」です。シバリングとは、寒さや恐怖を感じたときに筋肉を細かく収縮させ、体温を上げたり体をこわばらせたりする生理現象を指します。
シバリングであれば一時的なもので心配はいりません。しかし、それ以外の震えは病気のサインである可能性が高いため、どのような症状か注意深く観察する必要があります。
重大な病気の可能性がある危険な震えの症状
- 小刻みな震えが止まらない
- けいれんを起こしている
- 無意識に手足が突っ張る
- 全身が硬直する
- 泡を吹く、よだれが大量に出る
- 意識を失う
上記のような症状がみられる場合、猫の体には緊急事態が起きている可能性が高いです。特に、意識障害や全身の硬直などは極めて危険な状態といえます。ためらわずに、すぐに動物病院へ連絡し、指示を仰いでください。
猫が震える、原因は?
- 関節・ケガ・内臓損傷などの強い痛み
- 低カルシウム血症
- 低血糖症
- 肝臓疾患
- 腎臓疾患
- 尿毒症
- 心筋症
- 脳炎・脳腫瘍
- てんかん
- 膵炎
- 中毒
- 低体温症
生理現象であるシバリング以外で猫が震える場合、上記のような病気や体調不良が原因として考えられます。猫の震えは、他の動物に感染するようなものではありません。
原因として多いのは、ケガや関節炎などによる痛みです。しかし、それ以外にも「低カルシウム血症」や「低血糖症」、「尿毒症」といった代謝性疾患や、脳神経系の病気など、全身の様々な異常が震え(けいれん)の症状として現れることがあります。
猫が震える、診断方法は?
- 血液検査
- 尿検査
- レントゲン検査
- 超音波(エコー)検査
- CT・MRI検査
猫の震えには多様な原因が考えられるため、診断には多角的な検査が必要です。まずは全身状態を把握するために、基本的な「血液検査」や「尿検査」を行います。
これらの検査で異常が見つかれば、原因の特定を進めます。原因がはっきりしない場合は、腹部エコー検査やレントゲン検査で内臓や骨の異常を、CT・MRI検査で脳の異常などを調べ、「心筋症」や「腎結石・尿管結石」「脳腫瘍」といった病気の可能性を探ります。
愛猫にてんかんの疑いがある場合は、震えやけいれんが起きている時の様子を動画で撮影しておくと、獣医師が診断する上で非常に有力な情報となりますよ。
猫が震える、治療はどのように行う?
猫の震えに対する治療は、震えそのものを止める対症療法ではなく、原因となっている病気やケガを治すための根本治療が基本となります。
猫が震える原因は多岐にわたるため、治療法も様々です。例えば、痛みが原因であれば鎮痛剤、感染症であれば抗生剤、てんかんであれば抗てんかん薬、低血糖であればブドウ糖の投与など、診断結果に基づいてそれぞれの猫に最適な治療が行われます。
猫が震える、対策はできる?
残念ながら、猫の震えを引き起こす病気を完全に予防するワクチンなどはありません。そのため、震えへの最も有効な対策は、定期的な健康診断による病気の早期発見・早期治療です。
また、日常生活での対策として、猫の体を冷やさないこと、ストレスの少ないリラックスできる生活環境を整えてあげることも大切です。特にシニア猫は体温調節機能が衰えがちです。寒さで震えているようであれば、暖かく快適な環境を作ってあげましょう。
屋根付きで体がすっぽり収まるベッドや、保温性の高いペット用毛布、ペット用のヒーターなどを活用するのがおすすめですよ。
猫が震える、飼い主が注意することは?
猫が震えている時に、もし口から泡を吹いていたり、意識がなかったりした場合は、命に関わる緊急事態です。すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
そこまで重篤に見えなくても、体内で大きな異変が起きている可能性があります。震えが一時的に治まったとしても、油断せずにできるだけ早くかかりつけの動物病院で診てもらうことが大切です。
病院へ到着したときには症状が治まっていることも多いため、獣医師に愛猫が震えている時の状態を詳しく伝える準備をしておきましょう。一番良いのは、スマートフォンの動画機能で撮影しておくことです。つらそうな愛猫を撮影するのは心苦しいかもしれませんが、客観的な映像は診断の大きな助けになります。
もし動画が撮れない場合は、「震えていた時間」「震えの頻度(1日に何回など)」「震えの間隔」などをメモしておきましょう。これらの情報が、病名を特定する上で重要な役割を果たすことがあります。愛猫が大変な時こそ、飼い主さんが落ち着いて状態を観察し、正確な情報を獣医師に伝えることが、愛猫の回復への近道です。
猫が震える、かかりやすい猫種は?
猫の震えという症状に関して、特定の猫種で発症率が高いという報告は特にありません。つまり、どんな猫種、年齢の猫であっても震える可能性があり、全ての猫で注意が必要といえます。
異変を感じたらすぐに病院へ!
猫の震えは、飼い主さんが見過ごしてはいけない、深刻な病気のサインかもしれません。単なる寒さや一過性のものか、あるいは危険な病気なのかを飼い主さんだけで判断するのは非常に困難です。
愛猫が震えていることに気づいたら、「少し様子を見よう」とは思わずに、まずはかかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。早い段階で病気を発見できれば、それだけ愛猫の心身への負担が少ない治療を選択できますよ。