猫のいびき、これって病気?考えられる原因と危険ないびきの見分け方

猫が人間のようにいびきをかいて寝ている姿は、時に愛らしくもありますが、「もしかして病気なの?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫のいびきには、心配のいらない生理的なものから、注意すべき病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。

この記事では、猫がいびきをかく主な原因と、いびきがうるさい時や気になる場合の具体的な対策について、詳しく解説します。

猫がいびきをかく原因は?

そもそも、いびきは呼吸の際に空気が通る道(気道)が何らかの理由で狭くなり、そこを空気が通過する時に粘膜が振動して発生する音です。人間も猫も、いびきが起こる基本的な仕組みは同じです。

猫の気道が狭くなる原因は、大きく分けて「生まれつきの体型や体質によるもの」と、「病気が原因で後天的に起こるもの」の2つが考えられます。それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

猫のいびきの原因と対策1. 体型や体質

まず考えられるのは、病気ではない、猫自身の体型や体質に由来するいびきです。この場合、緊急性は低いことが多いですが、注意深く様子を見ることが大切です。

短頭種など生まれつきの体質

ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどの「短頭種」と呼ばれる鼻が短い猫種は、骨格の構造上、生まれつき鼻の穴(鼻腔)が狭い傾向があります。また、喉の奥にある軟口蓋(なんこうがい)という部分が長すぎる「軟口蓋過長症」であることも多く、これらが原因で空気の通り道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

これらは先天的な体質のため、いびきが軽く、猫が苦しそうでなければ経過観察となることがほとんどです。しかし、普段から呼吸が苦しそうだったり、いびきの音が異常に大きかったりする場合は、気道を広げる外科手術が必要になることもあります。気になる症状があれば、一度動物病院で相談しましょう。

肥満による気道の圧迫

人間と同じく、猫も肥満になると喉や首の周りに脂肪がつきます。この脂肪が気道を圧迫して狭くするため、いびきの原因となります。以前はいびきをかかなかったのに、太ってからかくようになった場合は肥満が原因かもしれません。

肥満は、いびきだけでなく関節炎や糖尿病など、さまざまな病気のリスクを高めます。愛猫の健康を守るためにも、獣医師と相談しながら、適切な食事管理や運動を取り入れて、肥満を解消することが重要です。

猫のいびきの原因と対策2. 後天的な感染症・病気

急にいびきをかくようになったり、他の症状が見られたりする場合は、病気が隠れている可能性があります。猫のいびきは、以下のような病気のサインかもしれません。

感染症による鼻炎(猫風邪)

猫カリシウイルスや猫ヘルペスウイルスなどの感染による、いわゆる「猫風邪」が原因で、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった鼻炎症状が起こり、いびきをかくことがあります。特に子猫や免疫力が低下している猫でよく見られます。鼻水が粘り気を帯びてくると、鼻が詰まっていびきが悪化することがあります。くしゃみや鼻水、目やになどの症状を伴う場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

鼻腔内腫瘍

高齢の猫に多い病気ですが、鼻の中に腫瘍ができると気道を塞いでしまい、いびきの原因となります。初期症状は猫風邪と似ていますが、くしゃみや鼻水が続くだけでなく、鼻血が出たり、顔が変形してきたりすることもあります。悪性腫瘍(がん)の可能性もあり、命に関わる怖い病気ですので、疑わしい症状があればすぐに検査が必要です。

心筋症などの心臓・呼吸器系の病気

心臓の筋肉が厚くなる心筋症などの病気によって心臓が肥大し、気管や気管支を物理的に圧迫することで、いびきや咳、呼吸困難を引き起こすことがあります。また、喘息や気管支炎といった呼吸器の病気でも、気道が狭くなりいびきに似た音が出ることがあります。安静時でも呼吸が速い、苦しそうに口を開けて呼吸する(開口呼吸)などの様子が見られたら、緊急性が高い可能性があるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

猫のいびきは病気の可能性も!気になるときは病院へ

猫のいびきは、単なる寝息で「かわいい」と見過ごせるものから、命に関わる重大な病気のサインまで様々です。飼い主さんが「いつもと違う」「なんだか苦しそう」と感じる違和感は、大切な受診のきっかけになります。

特に、以下のようなサインが見られる場合は、病気が隠れている可能性を考え、早めに動物病院で獣医師の診察を受けてください。

  • 急にいびきをかくようになった、または音が急に大きくなった
  • 寝ているときだけでなく、起きているときも「ズーズー」「ガーガー」という音がする
  • くしゃみ、鼻水、鼻血、よだれ、咳などの症状を伴う
  • 呼吸が速い、または口を開けて苦しそうに呼吸している
  • 食欲がない、元気がない、体重が減ってきた

愛猫の小さないびきの変化に気づき、適切に対応してあげることが、猫の健康と長生きにつながります。

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