犬の包皮炎についてご存知ですか?包皮炎とは、オスの犬のペニスを包む包皮の内側に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。多くの犬は生涯で一度は経験するともいわれています。
この記事を読めば、以下の点がわかります。
- ✓ 犬の包皮炎の主な原因
- ✓ 犬の包皮炎で見られる症状
- ✓ 犬の包皮炎の治療法とケア
犬の包皮内には様々な常在菌が存在しますが、何らかの理由で病原性を持つ細菌が増殖すると包皮炎を発症します。この記事では、犬の包皮炎の具体的な原因と症状、そしてご家庭でできるケアや動物病院での治療法を詳しく解説します。愛犬に包皮炎が疑われる場合は、ぜひ参考にしてくださいね。
犬の包皮炎ってどんなもの?
原因として考えられること
犬の包皮には、健康な状態では問題を起こさない「常在菌」が常に存在します。包皮炎は、免疫力の低下や不衛生な環境など、何らかの原因で常在菌のバランスが崩れ、病原性のある細菌が異常に増殖することで発症します。
特に、以下のような犬は包皮炎になりやすい傾向があります。
- 構造的な要因:犬は人と違って「包茎」が正常なため、包皮内に汚れが溜まりやすく、通気性も悪いため細菌が繁殖しやすい環境にあります。
- 物理的な要因:ペニスの先の毛が長い、短足犬種、肥満犬などは、地面や尿でペニス周りが汚れやすく、不潔な状態になりがちです。
- 体質的な要因:アレルギーや他の疾患によって免疫力が低下していると、細菌感染を起こしやすくなります。
どんな症状が出る?
犬の包皮炎では、以下のような症状がよく見られます。抱っこした際に服に膿がついて気づく飼い主さんも多いです。
- 包皮の先から、黄色や緑色がかったクリーム状の膿が出る。
- 膿の臭いが気になる。
- 違和感や痛みから、ペニスやその周りを頻繁に舐める。
- 症状が悪化すると痛みが生じ、おしっこが細切れになったり、排尿時に痛がったりする。
また、包皮炎の原因菌が尿道に侵入し、尿道炎や膀胱炎を二次的に引き起こすこともあります。おしっこが出にくい、血尿が出るといった症状が見られる場合は、これらの病気の可能性も考えられるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
治療法は?
犬の包皮炎の治療は、症状の重さによって異なります。
- 軽度の場合:膿の量が少なければ、経過観察となることもあります。あるいは、排尿後や散歩後に生理食塩水や処方された消毒薬でペニス周りを洗浄・消毒するだけで改善することが多いです。
- 重度の場合:膿の量が多く、炎症が強い場合は、包皮内をカテーテルなどを使ってしっかり洗浄する処置や、抗生物質の投与といった内科治療が必要になります。
一度発症すると再発しやすいため、日頃からのケアが重要になります。
犬の包皮炎には洗浄がいい?
包皮炎の予防や軽度な症状のケアとして、ペニス周りを清潔に保つ「洗浄」が非常に効果的です。排尿後やお散歩の後など、汚れたタイミングでこまめに洗浄してあげましょう。
洗浄を行う際は、以下の点に注意してください。
- 洗浄液:自己判断で市販の消毒薬を使うと、刺激が強すぎて症状を悪化させる可能性があります。必ず動物病院で処方された刺激の少ない洗浄液や消毒薬を使用してください。
- 毛のカット:ペニス周りの毛が長く、汚れの原因になっている場合は、カットしてあげるのも有効です。ただし、切り方によってはかえっておしっこが飛び散りやすくなることもあるため、まずは動物病院やトリミングサロンに相談することをおすすめします。
- 去勢手術:未去勢のオス犬は性的な興奮で分泌物が多くなることがあります。去勢手術を行うことで分泌物が減り、包皮炎が改善・再発しにくくなるケースも多いため、治療の選択肢として提案されることもあります。
包皮炎でも油断は禁物
包皮炎そのものが直接命にかかわることは稀ですが、放置することで愛犬が常に不快感を抱えたり、前述のように膀胱炎などの重い病気を引き起こしたりする可能性があります。包皮炎だからと軽く考えず、きちんと対処してあげることが大切です。
また、膿の臭いが強かったり、分泌物でカーペットやソファを汚してしまったりと、飼い主さんの生活にも影響を及ぼすことがあります。
こまめな洗浄や消毒など、症状に合わせた適切な対処法があります。飼い主さんだけで判断せず、まずはかかりつけの動物病院に相談し、愛犬にとって最適なケアをしてあげてくださいね。