いつも元気な愛犬が急におとなしくなったり、ぐったりしていたりすると、飼い主さんとしてはとても心配になりますよね。犬は本能的に弱みを見せない習性があるため、飼い主が「元気がない」と気づいたときには、すでに何らかの不調を我慢している可能性があります。
愛犬の元気がない状態は、病気のサインかもしれません。特に、これから紹介する症状が見られる場合は注意が必要です。
✓ 犬に元気がないのは病気?
✓ すぐに病院へ行くべき危険なサインは?
✓ 飼い主として何をしてあげられる?
この記事では、犬に元気がない場合の中でも、特に見逃してはいけない危険なサインや考えられる原因、そして飼い主さんができる対策について詳しく解説します。
愛犬の小さな変化に気づき、一日でも早く元気を取り戻せるよう、この記事がお役に立てれば幸いです。
見逃さないで!犬に元気がない場合の危険なサイン
犬に元気がないだけでなく、以下のような症状が見られる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。それぞれのサインについて詳しく見ていきましょう。
【サイン1】食欲がなく、ごはんを食べない状態が続く
一時的な食欲不振であれば、フードの好みなどの問題かもしれませんが、元気がない状態と食欲不振が同時に続いている場合は、病気の可能性を疑いましょう。犬がごはんを食べない場合、以下のようなさまざまな病気が考えられます。
- 胃腸炎などの消化器疾患
- 腎不全
- 子宮蓄膿症
- 膀胱炎
- 歯周病などの口内のトラブル
特に持病のある犬が元気も食欲もないときは、病状が悪化しているサインかもしれません。様子を見ずに、できるだけ早く動物病院を受診してください。
高齢犬(シニア犬)で食欲がない場合
高齢犬は病気でなくても、加齢によって食が細くなることがあります。しかし、食事量が減ると体力や免疫力の低下につながり、かえって病気を引き起こす原因にもなりかねません。
フードを少し温めて香りを立たせたり、ぬるま湯でふやかして食べやすくしたりするなど、愛犬が食べやすいように食事を工夫してあげましょう。
【サイン2】ぐったりしている・小刻みに震えている
犬が元気なくぐったりしている、または震えている場合、緊急性の高い状態である可能性があります。特に子犬の場合、「低血糖症」が疑われます。
低血糖症は、血液中の糖分濃度が急激に下がることで、以下のような症状を引き起こす危険な状態です。
- ぐったりして動かない
- 意識が混濁する
- けいれん発作を起こす
命に関わるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。普段は元気いっぱいの子犬がぐったりしているのは、明らかな異常サインだと考えてください。
中高齢犬がぐったりしている場合
中高齢の犬がぐったりしている場合は、「子宮蓄膿症」や「腎不全」といった病気が進行している可能性があります。また、「腫瘍」や「心臓病」、「甲状腺機能低下症」なども、元気や覇気がなくなる原因として挙げられます。
高齢になると寝ている時間は増えますが、大好きだった散歩に行きたがらない、呼びかけへの反応が鈍いなど、普段と明らかに様子が違う場合は、病気が隠れているサインです。
夏場にぐったりしている場合は熱中症に注意
夏場に犬がぐったりしている場合、熱中症を強く疑う必要があります。特に、高温多湿の室内や車内にいたり、直射日光の下で過ごしたりした後にぐったりしている場合は、重度の熱中症かもしれません。命の危険があるため、体を冷やしながら急いで動物病院へ向かってください。
【サイン3】下痢や嘔吐を繰り返す
犬に元気がないだけでなく、下痢や嘔吐を伴う場合も病気のサインです。一過性のものであれば心配ないこともありますが、繰り返し吐いたり、水のような下痢が続いたりする場合は注意が必要です。考えられる原因には、以下のようなものがあります。
- 内部寄生虫などの感染症
- 胃腸炎などの消化器疾患
- 腎不全
- 膵炎
- 誤飲・誤食
嘔吐や下痢が続くと脱水症状を引き起こし、体力を著しく消耗します。血便や血の混じった嘔吐が見られる場合は特に危険なため、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
【サイン4】咳・鼻水・発熱など風邪のような症状がある
犬に元気がなく、同時に「咳をする」「鼻水が出ている」「体が熱い」といった人間の風邪に似た症状が見られる場合、呼吸器系の病気にかかっている可能性があります。
- ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)
- 肺炎
- フィラリア症
- 犬ジステンパー
特に、高齢の小型犬が咳をしたり、呼吸が速くなったりしている場合は、心臓病が原因で肺に水がたまる「肺水腫」という危険な状態かもしれません。命に関わる病気が多いため、速やかに動物病院を受診してください。
元気はないけど、食欲はあってうんちおしっこに変化がないときは?
犬に元気がないものの、食欲はあり、排泄もいつも通りという場合は、緊急性は低いかもしれません。来客や騒音、環境の変化といったストレスが原因で、一時的に元気をなくしている可能性が考えられます。
まずは愛犬が安心して休める環境を整え、しばらく様子を見てもよいでしょう。
ただし、元気のない状態が2〜3日以上続く、または他にも気になる様子が見られる場合は、飼い主さんの判断で様子見を続けず、一度動物病院へ相談してください。
食欲があっても高齢犬(シニア犬)は注意
高齢犬の場合、食欲があっても元気がないときは「甲状腺機能低下症」などの病気が隠れていることがあります。この病気は活動性の低下や肥満、皮膚トラブルなどを引き起こしますが、食欲は正常か、むしろ増進することもあるため発見が遅れがちです。
「年のせいかな?」で済ませず、気になる変化があれば獣医師に相談することが大切です。
犬の危険なサインを見逃さないで!
「何となく元気がない」「いつもより食欲がない」といった飼い主さんだからこそ気づける愛犬の小さな変化は、病気の初期症状かもしれません。言葉を話せない犬の代わりに、飼い主さんが健康状態を注意深く観察し、病気を早期発見してあげることが重要です。
犬に元気がないと感じたら、今回ご紹介したような危険なサインを併発していないか、しっかり確認してあげてください。
- 食欲不振が続く
- ぐったりしている、震えている
- 下痢や嘔吐を繰り返す
- 咳、鼻水、発熱などの症状がある
これらのサインが見られた場合は、自己判断で様子を見ずに、かかりつけの動物病院に相談しましょう。