犬のおならが臭い!フードが原因?病気?獣医師が解説する考えられる理由と対策法

人間と同じように、犬もおならをします。しかし、愛犬のおならが「いつもより臭い」「回数が増えた」と感じる場合、それは消化不良やストレス、あるいは何らかの病気のサインかもしれません。音を立てないおならもあるため、飼い主さんが気づかないうちに体調の変化が起きている可能性もあります。

この記事では、犬のおならが臭くなる原因を詳しく解説し、今日からできる具体的な対策や、注意すべき病気の可能性についてご紹介します。

犬のおならが臭い、原因は?

主な原因

食べ物(ドッグフードなど)
体調(ストレスや消化機能の低下)

犬のおならが臭くなる主な原因は、「食べ物」か「体調」に関連していることがほとんどです。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

食べ物が原因でおならが臭い場合

毎日食べているドッグフードやおやつが、おならの臭いの原因になることがあります。特にタンパク質が豊富な食事は、腸内の悪玉菌のエサとなり、発酵する過程で硫黄化合物のような臭いの強いガスを発生させやすくなります。

また、愛犬の体質に合わないフードは消化不良を引き起こし、腸内にガスが溜まりやすくなるため、おならの回数が増えたり、臭いがきつくなったりする傾向があります。急なフードの切り替えや、穀物・添加物の多いフードも原因の一つです。

ストレスや加齢など体調が原因の場合

犬は非常にデリケートな動物で、環境の変化や運動不足、飼い主とのコミュニケーション不足などからストレスを感じやすいです。ストレスは自律神経の乱れにつながり、胃腸の働きを悪化させることがあります。

胃酸の分泌が減ったり、腸のぜん動運動が弱まったりすると、食べたものがうまく消化・吸収されず、腸内で異常発酵を起こして臭いおならの原因となります。また、加齢によって消化機能が低下することも、おならが臭くなる一因です。

犬のおならが臭い、対策は?

ポイント

食事の見直しと腸内環境の改善

愛犬の臭いおならを改善するためには、まず食事のバランスを見直し、腸内環境を整えてあげることが大切です。以下の対策を試してみてください。

  • フードの見直し:高タンパクすぎるフードや、愛犬の体に合わない原材料(特定の穀物など)が含まれていないか確認しましょう。消化吸収の良い、高品質なフードへの切り替えを検討してみてください。
  • 腸内環境を整える:消化を助ける乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を食事に取り入れるのがおすすめです。無糖のペット用ヨーグルトや、犬用のサプリメントを活用するのも良いでしょう。
  • 適度な運動:散歩などの適度な運動は、腸の動きを活発にし、ガスの排出を助けます。ストレス解消にもつながり、一石二鳥です。
  • 牛乳の与えすぎに注意:犬は牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が少ないため、与えすぎると下痢や消化不良の原因になります。もし下痢を伴う場合は、量や頻度を減らすか、犬用のミルクに切り替えてください。

これらの対策を行ってもおならの臭いが改善しない、または他の症状が見られる場合は、動物病院で獣医師に相談しましょう。

犬のおならが臭い、病気なの?下痢になる?

おならが臭くなる病気

慢性胃炎
直腸がん
炎症性腸疾患(IBD)
寄生虫(回虫など)の感染

腐敗臭のような強烈な臭いのおならが続く場合や、食事・生活習慣を見直しても改善しない場合は、病気や寄生虫感染のサインかもしれません。特に、おならが臭いだけでなく「下痢や嘔吐」「食欲不振」「元気がない」といった症状を伴う場合は注意が必要です。

考えられる病気には「慢性胃炎」「直腸がん」「炎症性腸疾患」などがあり、これらは胃腸内の環境悪化が原因で起こります。速やかに獣医師の診察を受けてください。下痢を伴う場合、体重が減っていれば「小腸の異常」、体重に変化がなければ「大腸の異常」が一つの目安になります。

また、特に子犬のおならが臭い場合は「回虫症」などの寄生虫に感染している可能性も考えられます。回虫症は母犬からの母子感染や、ネズミなどを介して感染し、「お腹がぽっこり膨れる」「下痢」「嘔吐」といった症状が見られます。子犬の命に関わることもあるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

犬のおなら対策、肛門絞りとは?

犬のお尻から発せられる臭いの原因は、おならだけでなく「肛門腺」の可能性もあります。肛門の左右(時計の4時と8時の位置)にある肛門腺という袋には、非常に強い臭いの分泌物が溜まっています。

通常、この分泌物は排便時に便と一緒に少しずつ排出されますが、犬種や体質によってはうまく排出できずに溜まってしまうことがあります。この溜まった分泌物を定期的に絞り出すケアが「肛門絞り」です。

肛門絞りを怠ると、分泌物が溜まりすぎて炎症や化膿を起こし、最悪の場合は肛門腺が破裂してしまうこともあります。月に1回程度を目安に、肛門絞りを行ってあげましょう。

vet所属獣医師先生

肛門腺絞りはコツがいります。もし難しい場合は動物病院で定期的に行ってもらったり、トリミングサロンでも行っているので頼ることも1つの方法ですよ。その際に肛門腺絞りの方法を教えてもらい、自身でもできるようになるといいですね。

犬のおならは臭いの変化に気をつけることが大切

犬がおならをすることは、人間と同じく自然な生理現象であり、健康な証拠でもあります。自分のおならの音に驚いて逃げたり、臭いに反応して自分のお尻を嗅いだりする可愛らしい姿を見せることもあります。

しかし、そのおならが「異常に臭い」と感じたときは、愛犬からの重要なサインです。犬のおならは、いわば健康のバロメーター。日頃から愛犬の様子をよく観察し、おならの回数や臭いの変化に気づいてあげることが、病気の早期発見につながります。

臭いの変化に気づくのは簡単ではないかもしれませんが、食事の見直しや生活習慣の改善で対策できることも多くあります。それでも気になる症状が続く場合は、決して自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してくださいね。

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