愛犬の口周りや顔に白い毛が…これって白髪?」「まだ若いのに白髪があるのはなぜ?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。犬の白髪は、人と同じように老化だけでなく、ストレスや栄養不足など様々な原因で生じます。若くして白髪(若白髪)が見られることも珍しくありません。
この記事では、獣医師監修のもと、犬の白髪や若白髪の主な原因と、飼い主さんができるケアや対策について詳しく解説します。愛犬の健康のサインを見逃さないためにも、ぜひ参考にしてくださいね。
犬も白髪になる?
はい、犬も人間と同じように白髪になります。毛の色を作り出す「メラニン色素」を生成する細胞(メラノサイト)の働きが低下・停止することで、毛が白くなります。犬の白髪の主な原因は加齢ですが、一般的にシニア犬とされる7歳以降に口周りから白髪が生えるようになります。
犬も若白髪が?
犬にも「若白髪」はあります。早い子では2〜3歳頃から白髪が生え始めることも。犬の3歳は人間に換算すると20代後半〜30代前半にあたるため、若白髪が生えても不思議ではありません。ただし、若白髪はストレスや何らかの不調のサインである可能性も考えられます。
犬が白髪になる原因は?
老化
ストレス
身体的な不調
皮膚へのダメージ
栄養不足・血行不良
1:老化
犬の白髪の最も一般的な原因は、人間と同じく「老化」です。年齢を重ねる(加齢)と、毛の色素を作るメラノサイトの機能が自然と衰え、メラニン色素が十分に作られなくなります。その結果、毛が白くなり、毛艶も失われがちになります。特に7歳以上のシニア犬になると、口周りから白髪が増え始める傾向があります。
2:ストレス
強いストレスは、犬の若白髪の大きな原因の一つです。犬も不安や恐怖などでストレスがたまることで白髪になりやすくなります。犬がストレスを感じる主な要因には、以下のようなものがあります。
- 環境の変化:引っ越し、模様替え、家族構成の変化(新しいペット、赤ちゃんの誕生、飼い主との別れなど)
- 騒音:工事の音、雷、花火、大きなテレビの音など、聴覚の鋭い犬にとっては大きなストレス源です。
- 運動不足:犬種や個性に合った十分な運動ができないと、エネルギーを発散できずストレスが溜まります。
- 留守番の時間が長い:飼い主とのコミュニケーション不足は、分離不安につながることもあります。
愛犬の様子をよく観察し、ストレスサインを見逃さないことが大切です。散歩の時間を増やしたり、一緒に遊ぶ時間を設けたりして、ストレスを発散させてあげましょう。
3:身体的な不調
病気や体調不良が、犬の白髪の原因となることもあります。特に、甲状腺機能低下症などのホルモン異常や、皮膚病、栄養吸収の障害などは、毛髪の健康に直接影響を与えます。具体的には、血行不良による栄養不足、特定の栄養素(チロシン、銅など)の欠乏、内臓疾患などが考えられます。急に白髪が増えたり、脱毛や皮膚の異常など他の症状も見られたりする場合は、病気が隠れている可能性も。早めに動物病院で獣医師に相談しましょう。
4:ニコチン
飼い主の喫煙による「副流煙」も、犬の白髪の原因になり得るので注意が必要です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血行不良を引き起こします。これにより、毛根に十分な栄養が届かなくなり、白髪につながることがあります。さらに、体内に取り込まれた有害物質を分解するためにビタミンCなどが大量に消費され、栄養バランスが崩れることも一因です。タバコの副流煙も白髪の原因になるため、愛犬の健康のためにも、室内での喫煙は絶対に避けましょう。
vet監修獣医師先生
5:皮膚
健康な毛は、健康な皮膚から生えてきます。アレルギーや細菌感染などによる皮膚炎、あるいは過度なシャンプーや不適切なケアによる乾燥など、皮膚環境の悪化は毛根にダメージを与え、白髪や抜け毛の原因となります。定期的なブラッシングで血行を促進し、犬の肌に合ったシャンプーで清潔を保つことが、白髪の予防・対策にもつながります。
白髪になりやすい犬種は?
犬の白髪は犬種を問わず見られますが、遺伝的に白髪が生えやすいとされる犬種も存在します。特に、以下の犬種は比較的若いうちから口周りなどが白くなりやすい傾向があると言われています。
- ゴールデン・レトリバー
- ラブラドール・レトリバー
- 柴犬
- トイ・プードル
- シェットランド・シープドッグ
これらの犬種は、もともとの毛色に関わらず、加齢とともに白髪が目立ちやすいようです。ただし、個体差が大きいため、あくまで傾向の一つとして捉えてください。
犬の若白髪は病気ではない!
愛犬に若白髪を見つけても、「すぐに病気だ」と過度に心配する必要はありません。多くの場合、若白髪は体質や軽度なストレスなどが原因です。しかし、それは愛犬が送る何らかのサインかもしれません。急に白髪が増えた、元気がない、食欲がないなど他の症状も伴う場合は、病気の可能性も考えられます。愛犬の些細な変化に気づくためにも、定期健診で獣医師さんに相談してみるのがおすすめです。
愛犬の白髪対策として、飼い主ができることはたくさんあります。
- 栄養バランスの取れた食事:毛の健康をサポートするチロシンや銅、ビタミン類を含むフードを選びましょう。
- ストレスの軽減:十分な散歩や遊びの時間を確保し、安心できる環境を整えましょう。
- スキンシップ:マッサージやブラッシングは、血行促進と同時に愛犬との絆を深め、ストレス解消にもつながります。
愛犬の健康は、美しい毛並みや毛艶に表れます。日々のケアを通して、愛犬がいつまでも健康で若々しくいられるようにサポートしてあげましょう。