子犬を家に迎えた喜びとともに、「なんだか独特のニオイがする…」と感じたことはありませんか?子犬特有のニオイは、飼い主さんは慣れてしまっても、ご家族や友人が来客した際に気付かれることがあります。ニオイは放置すると、人だけでなく愛犬にとってもストレスの原因になりかねません。
また、気になるニオイの中には、子犬の健康状態を示す病気のサインが隠れている可能性もあります。大切な愛犬のために、ニオイの原因を正しく理解し、適切な対策をしてあげましょう。
この記事では、子犬のニオイの主な原因から、ご家庭でできる具体的な対策、シャンプーなどのケアで気をつけるべき点まで、詳しく解説します。
子犬のニオイの原因は?
口臭(口のニオイ)
体臭(体全体のニオイ)
便臭(排泄物のニオイ)
耳のニオイ
子犬のニオイが気になる場合、その原因は一つではありません。主に「口」「体」「便」「耳」の4つの発生源が考えられます。それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
口臭
子犬の口が臭う場合、フードの食べかすや歯垢が原因で口内環境が悪化している可能性があります。特に、歯が密集しやすい小型犬や、構造的に歯磨きがしにくい短頭種は口臭が出やすい傾向にあります。
また、フードが体に合わず消化不良を起こしていたり、内臓系の病気が隠れていたりする場合も、症状の一つとして口臭が強く出ることがあります。いつもと違うニオイがしたら注意が必要です。
体臭
犬の体臭は、皮膚のシワが多い犬種(フレンチブルドッグやパグなど)で特に目立ちます。シワの間に皮脂や汚れが溜まり、細菌が繁殖することでニオイが発生します。
犬種によっては皮脂の分泌が多く、体臭がきつくなりやすい子もいます。濡らしたガーゼでこまめに体を拭いてあげるだけでも、ニオイはかなり軽減されますよ。
また、おしっこの後などに陰部や肛門周りを清潔に保つことも、雑菌の繁殖を防ぎ、ニオイを抑えるポイントです。
便のニオイ
トイレトレーニング中の子犬は、自分の便を踏んだり、その上で寝てしまったりすることがあります。その結果、被毛に便が付着し、体から便のニオイがしてしまうケースは少なくありません。
もし便そのもののニオイが非常にきつい場合は、今与えているドッグフードが子犬の体に合っていないサインかもしれません。
耳のニオイ
耳から酸っぱいような、あるいは不快なニオイがする場合、外耳炎などのトラブルが考えられます。特に、コッカー・スパニエルやダックスフンドのような垂れ耳の犬種は、耳の中が蒸れて通気性が悪くなりがちです。そのため、耳垢が溜まりやすく、細菌や真菌が繁殖して強いニオイを放つことがあります。
子犬のニオイを軽減するための対策は?
子犬のニオイの原因がわかったら、次は具体的な対策です。原因別に効果的なケア方法をご紹介します。
口臭ケア:歯磨きの習慣化
体臭ケア:こまめな清拭とブラッシング
便臭ケア:トイレ環境の整備とフードの見直し
耳のニオイケア:定期的な耳掃除
口臭
口臭対策の基本は、毎日のデンタルケアです。子犬のうちから歯磨きに慣れさせ、習慣化することが最も重要です。歯ブラシが苦手な場合は、歯磨きシートやデンタルガム、おもちゃなどを活用するのも良いでしょう。
消化不良による口臭も考えられるため、ドッグフードを消化しやすいグレインフリー(穀物不使用)のものや、子犬用に設計されたフードに変更するとニオイが改善される場合もありますよ。
体臭
体臭対策は、ニオイの原因となる皮脂や汚れをこまめに取り除くことが大切です。
シワの間や指の間、口の周りなどを、ペット用のウェットシートや濡らしたガーゼで優しく拭いてあげましょう。定期的なブラッシングで抜け毛やフケを取り除くことも、皮膚を清潔に保ち、体臭軽減に繋がります。
部屋についたニオイ対策も
愛犬のニオイは、カーペットやソファ、ベッド、おもちゃなど、部屋のあらゆる場所に染み付いています。洗える布製品は定期的に洗濯し、ペットが舐めても安全な除菌・消臭スプレーを活用しましょう。
特に愛犬が長く過ごすハウスやサークルの近くに、ペット用の空気清浄機を設置すると、部屋全体のニオイの軽減に大きく役立ちます。
便臭
体に便がついてしまった場合は、まずペット用のウェットティッシュなどで汚れを拭き取り、必要であればその部分だけシャワーで洗い流してあげましょう。
便そのものが臭う場合は、前述の通りドッグフードの見直しを検討してみてください。
また、子犬のうちからトイレトレーニングをしっかり行い、排泄物を踏まないようにしつけることが根本的な対策になります。
クエン酸を活用してみる
トイレトレーなどに染み付いたアンモニア臭は、アルカリ性のため酸性のクエン酸で中和するのが効果的です。
水やお湯にクエン酸を溶かした液体に、トイレトレーを半日ほど浸け置きし、その後よくすすいで乾かせば、ニオイをスッキリ落とすことができます。
耳のニオイ
耳のニオイは、定期的な耳掃除で予防・対策できます。コットンに犬用のイヤークリーナーを染み込ませ、見える範囲の汚れを優しく拭き取ってあげましょう。
特に垂れ耳の犬は耳内部が汚れやすいため、週に1回程度はチェックし、清潔に保つよう心がけてください。ただし、耳の奥を傷つけないよう、綿棒などの使用は避けましょう。
子犬のニオイ対策で気をつけたいことは?
よかれと思って行っているニオイ対策が、実は子犬にとって負担になっていることもあります。特に注意したいポイントを3つご紹介します。
シャンプーはワクチンプログラム完了後に
シャンプー前にはブラッシングを念入りに
人間用の香水や消臭剤は絶対に使わない
体臭が気になるとすぐにシャンプーをしたくなりますが、子犬は成犬に比べて体力も免疫力も低いため、慎重に行う必要があります。シャンプーは、獣医師と相談の上、最低でも混合ワクチンのプログラムが完了してからにしましょう。
シャンプーをする際は、事前にしっかりブラッシングをして毛のもつれや抜け毛を取り除いておくと、シャンプー時間を短縮でき、子犬の負担を減らせます。
そして、部屋のニオイが気になるからといって、人間用の芳香剤や消臭スプレーを使うのは絶対にやめてください。人間の数千倍~1億倍ともいわれる優れた嗅覚を持つ犬にとって、それらの強い香りは大きなストレスとなり、健康を害する危険性すらあります。
シャンプーがまだできない時期は、固く絞った濡れタオルで体を拭いたり、犬用のブラッシングスプレーを使ったりして、優しくケアしてあげましょう。
子犬のシャンプーの頻度と綺麗にするコツは?
子犬のシャンプーができるようになったら、次は頻度とコツを知っておきましょう。
月1回程度が目安
子犬のシャンプーは、皮膚のバリア機能を保つためにも、洗いすぎは禁物です。健康な皮膚であれば、月1回程度を目安にしましょう。
シャンプーをする際は、35〜38℃程度のぬるま湯で全身をしっかり濡らしてから、低刺激の子犬用シャンプーで優しく洗います。お尻周りや足先など、汚れやすい部分は特に丁寧に洗いましょう。
シャンプー前に肛門腺絞りを行うと、ニオイの原因となる分泌物を排出できますが、初めての場合は動物病院やトリミングサロンでやり方を教わるのが安心です。
すすぎ残しは皮膚トラブルの原因になるため、シャンプー剤が残らないよう十分に洗い流してください。その後はタオルでしっかり水分を拭き取り、ドライヤーで根本から完全に乾かすことが最も重要です。生乾きのまま放置すると、雑菌が繁殖してしまい、かえってニオイや皮膚病の原因になるので注意しましょう。
犬の嗅覚は食欲にも関係がある
少し話は逸れますが、犬にとって「ニオイ」は食欲を刺激する重要な要素です。ドライフードをぬるま湯でふやかすと香りが立ち、食いつきが良くなることがあります。夏バテやシニア期で食欲が落ちた際に試してみる価値のある方法です。
このように、ニオイは犬の生活に密接に関わっています。だからこそ、強すぎる人工的な香りは避け、愛犬が快適に過ごせるニオイ環境を整えてあげることが大切です。
気になる初期症状は獣医師に相談してみる
「いつもと違う、変なニオイがする」「ケアをしてもニオイが改善されない」など、飼い主さんだからこそ気付ける愛犬の変化は、病気のサインかもしれません。
例えば、甘酸っぱい口臭は糖尿病、アンモニアのような口臭は腎臓病の可能性も考えられます。自己判断で様子を見たりせず、少しでも不安に感じたら、できればニオイや様子の変化がわかる動画などを撮って、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
ニオイ対策をして快適なペットライフを
子犬のニオイが気になる場合、まずはその原因がどこにあるのかを突き止めることが解決への第一歩です。
原因に合わせた日々の正しいケアを続けることで、多くのニオイは改善できます。
また、愛犬のケアと同時に、お部屋の掃除や換気も忘れずに行いましょう。嗅覚が鋭い犬にとって、清潔で安心できる環境は、心身の健康やストレス軽減に繋がります。
適切なニオイ対策を実践し、愛犬も飼い主さんも、共に笑顔で過ごせる快適なペットライフを送ってくださいね。